8月22日に決勝戦を迎える、第104回 全国高校野球選手権大会。強豪校との試合を勝ち抜きベスト8まで駒を進めた高校の中には、打撃技術の高さを買われドラフト4位指名を受けた、田村俊介の母校・愛工大名電高がある。

 今季、高卒プロ1年目ながら打撃を評価され、春季キャンプでは途中から一軍に合流。初の紅白戦では左翼フェンスを直撃する二塁打を放つなど、ファンから驚きの声が上がった。

 現在は二軍で、初の一軍昇格に向けて奮闘を続ける田村。ここでは、入団直前の2021年12月に収録した独占インタビューを再編集してお届けする。

背番号60のユニホームを身につけ、入団会見でポーズをとる田村俊介。

◆春季キャンプ途中で一軍合流。紅白戦ではフェンス直撃ツーベースも

ー中学から親元を離れ寮生活をされています。中学・高校と一人暮らしを経験したことで、学んだことや得たものはありましたか?

「野球だけでなく、掃除や洗濯なども全て自分でやらなければいけないので大変でした。それだけに寮生活を通して、親のありがたさを感じることができました。野球を始めた時から目標はプロ入りで、そのために野球に打ち込んできたので、カープに選んでいただき、うれしさとほっとした気持ちで一杯です」

ー愛工大名電高にはイチロー(元・マリナーズなど)さんをはじめ、数々の名選手を指導された倉野光生監督がおられます。

「監督には常日頃から、『3年生で引退ではない。次のステージでも即戦力で活躍できるように』と言われてきました。なので、カープでも即戦力としてプレーできるよう、指名後もしっかりと練習を続けてきました」

ー担当の松本スカウトは『バットコントロールが良く、西川龍馬二世になれる存在』だとコメントされていました。

「打席ではコース・場面に応じた打撃を意識していますし、アウトコース、インコースを広角に打ち分けるのは得意にしている部分です。また、そういった打撃を実践できるようにスイングスピードを磨いてきました。それだけにスイングの早さにも自信があります」

ー目標にしている打者はいますか?

「小さい頃から筒香(嘉智・パイレーツ)選手のようなバッターになりたいと思ってきました。筒香選手は内角は豪快に引っ張り、外角は逆方向に長打を放つ打者なので、ずっと筒香選手をイメージして練習してきました」

ー高校通算で32本塁打。印象に残っている本塁打を教えてください。

「一つは今年の初打席で、同学年の中京大中京高の畔柳(亨丞・日本ハムドラフト5位)投手から右中間にライナーで放った本塁打です。もう一つは今年最後の打席となった夏の甲子園での本塁打です。最初と最後が本塁打だったという点で印象に残っています」

ー投手としても結果を残しています。二刀流で挑戦したい思いもあったのでは?

「中学校までは野手がメインで高校から本格的に投手を始めました。一年生の夏に、奥川(恭伸・ヤクルト)投手と対戦し、投げ勝ったことで自信が生まれ、その自信が日々の練習につながっていきました。球団から、投手・野手のどちらをやれと言われてもできるように準備だけしておこうと思っています」

ーファンのみなさんも可能性を秘めた田村選手の活躍を楽しみに待っています。

「カープは熱いファンの方々が多く、ファンと選手が一体となって戦っているイメージがあります。そんなファンの方々を魅了する全力プレーをしていきたいと思っています」

《プロフィール》
田村 俊介●たむら・しゅんすけ
2003年8月25日生、京都府出身
178cm/90kg/左投左打/外野手
愛工大名電高-広島(2021年ドラフト4位)