◆こんなに違う日米の寄付市場

 NPOを立ち上げて活動したり、社会貢献についてメディアで発信したりすると、「日本はアメリカに比べてチャリティー文化が遅れていますよね」というご意見をいただくことがあります。はたしてそれは真実なのでしょうか。今回はスポーツの話題から少し離れて、寄付そのものに目を向けていきたいと思います。

 まずは、みなさんがおそらく「チャリティーが盛ん」というイメージを持っているであろうアメリカと日本でどれだけ寄付市場に差があるのか数字で比較してみましょう。

 日本ファンドレイジング協会発行の『寄付白書2021』によると、2020年のアメリカの個人寄付総額は約34兆5948億円、日本は約1兆2126億円です。つまり、アメリカは日本の約29倍。人口比が約3倍なので、アメリカ人が日本人よりもたくさん寄付をしていることがわかります。一つ注意したいのが、2020年はコロナ禍最初の年で日本の寄付市場が活発だったこと。平常時の2016年のデータを見てみると、アメリカは約30兆6664億円、日本は約7756億円。個人寄付の平均額はアメリカが12万7050円、日本が2万7013円とその差は明らかです(いずれも『寄付白書2017』より)。数字上で見ると、たしかにアメリカの寄付市場は日本よりもずっと大きいと言えます。

 しかし、だからといって「日本のチャリティーは全然ダメ!」とはならないと私は思っています。