広島東洋カープは4日、2007年にカープに在籍したジャレッド・フェルナンデス氏が臨時投手コーチとしてフェニックス・リーグに合流することを発表した。

 『ナックルボール』を武器とした、フェルナンデス氏は、合流後、坂田怜選手(育成)に10月9日~19日の間で指導を行う予定。

体重100キロ、投げる球も100キロという際立ったキャラクターでファンから愛されたフェルナンデス氏。10月9日~19日の間で坂田怜選手(育成)の指導を行う予定。

 フェルナンデス氏は2007年、当時の監督であるマーティー・ブラウンの推薦で来日。たった一つの武器で日本の野球ファンに大きなインパクトを与えた。

 その武器とは『ナックルボール』。空気の抵抗を受けてユラユラと揺れるこの特殊な球は、本人でさえ行き先の分からない“魔球”だった。

 フェルナンデスは投球の8割近くにこの球種を用いる“フルタイム・ナックルボーラー”だ。2007年当時、初登板こそ10失点と派手にKOされたが、2度目の登板で7回1/3を2失点に抑えると、次第に成績は向上していった。

 打者のバットは不規則に揺れる球をとらえきれず、ナックルボールの存在感は日増しに高まっていった。

「こんな遅い球で打ち取れるのが、この球の魅力なんだ」

 その言葉を証明するように、強打者たちが凡退を繰り返していった。球場の湿度や風向きなど気候による変化量の増減、肩への負担の少なさが可能にした連投に次ぐ連投、陽気な性格と実直な人柄。様々な要素がフェルナンデスを、そしてナックルボールを注目の的にしていった。

 わずか1年での退団となったが、インパクトが残る投手として今でも熱心なカープファンの間で話題に上る。今回、フェルナンデス氏が臨時投手コーチとして指導することで、“ナックルボーラー坂田”のさらなるレベルアップが期待される。

●ジャレッド・フェルナンデス
1972年2月2日生、アメリカ出身。右投右打。
経歴:カリフォルニア州大フレズノ校 - レッズ - アストロズ - ブルワーズ – カープ
2007年広島東洋カープに入団し、“ナックルボーラー”として30試合に登板。3勝8敗、防御率6.04。2007年のみの在籍だったが、ナックルボールにこだわった投球スタイルは印象的で、ユニークな性格と豊かな表現力も相まって人気選手となった。多くのファンに惜しまれながらも、1年限りで退団となった。