10月20日に開催された、『2022年・プロ野球ドラフト会議』。新井カープは事前の公表通り、斉藤優汰（苫小牧中央）を1位指名した。
ドラフト会議は、まさに選手の運命を左右するターニングポイントとも呼べる。指名を待つ選手は、この運命の日をどんな気持ちで迎えたのか。ここでは、育成から支配下登録を勝ち取った藤井黎來に、自身のドラフト当時を振り返ってもらった。
◆アピールするチャンスは、多くは巡ってこないと思っていた
─高校時代はプロ野球の世界を意識してプレーしていましたか？
「全くしてないです。甲子園で投げた試合を評価していただいている記事を見て、“自分もそういう選手になれたんだな”と思い、そこから少しずつプロの世界が気になり始めました」
─指名があるとは思っていなかった？
「プロになれたらいいなと思っていましたが、まさか指名されるとは思っていませんでした」
─ドラフト会議で指名されたときは驚きのほうが大きかったわけですね。
「そうですね。どんな形でもプロの世界に入れたらいいなと思っていたので、育成ドラフトでの指名でもめちゃくちゃうれしかったです」
─ちなみに学生の頃、ドラフト会議は毎年見ておられましたか？
「実はほとんど見たことがありませんでした。秋田ということもあり、おそらく放送も少なかったのではないかと思います」
─担当の近藤芳久スカウトにはどんな印象を持たれていましたか？
「学校によく来てくださっていたのですが、カープ入団が決まるまで話をしたことはありませんでした。近藤さんは、あまり多くを話される方ではないのですが、プロ入り後も絶えず見守ってくださっている印象があります」
─プロ3年目の2020年9月に支配下登録を勝ち取り、背番号が『58』に変わりました。このとき、近藤スカウトからはどんな言葉をかけられましたか？
「プロに入ってやってきたことを、これまで通りしっかりやれば大丈夫だからと言ってくださいました。その後も初めて一軍に昇格したときなどに連絡させていただきましたが、あまり頻繁に連絡はしていません。ただ、母校にはよく顔を出してくださっていると聞くので、そういう話を聞くとなんだかうれしくなりますし、もっと頑張ろうという気持ちになります」
─今年でプロ5年目ですが、ここまでのプロ野球生活を振り返ってみていかがですか？
「結果が全てのプロ野球の世界で、ここまで自分が成長できるとは思っていなかったのが正直な思いです。育成という立場だったので、アピールチャンスもそこまで多くは巡ってこないと思っていました。ただ、自分が思っていた以上に数多くの登板機会をいただけたことで自分の持ち味をアピールすることができ、支配下登録していただくことができました。こんなに早く背番号が２桁になるとは思っていなかったので、とにかくうれしかったですね」
─プロで一番成長したのはどういった部分だと感じておられますか？
「一番良くなったのはストレートの強さだと思います。球速も質もかなり良くなりました。一軍の舞台で投げていくうえで磨いていかないといけない武器だと思っているので、さらに進化させていく必要があると感じています」
─今年も10月20日にドラフト会議が行われます。この時期、やっぱりドラフトのことは気になりますか？
「投手が何人入ってくるかだけですね、気になるのは。新しく入ってくる投手には絶対に負けたくないという気持ちは強く持っています」
■ふじい・れいら
1999年9月17日生（22歳）、秋田県出身
182cm・91kg／右投右打／投手
大曲工高－広島（2017年育成ドラフト2位）
