2010年から5年間カープを率い、25年ぶりの優勝への礎を築いた野村謙二郎元監督。この特集では監督を退任した直後に出版された野村氏初の著書『変わるしかなかった』を順次掲載し、その苦闘の日々を改めて振り返る。
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 カープの将来を考えたときに一番キーになるポジションを、僕は何とか自前でつくりたかったのだ。だから、それまではレギュラーを固定せず、日替わり打線で臨む方針だったが、堂林に関してだけは我慢して起用することにした。最初の頃は彼にいろいろ声をかけた。

「失敗してもいいから逃げるな」
「下を向くな」

 あとは「とにかくベンチの前で声を出せ」……。彼が偉いのは、それだけは守ったこと。堂林は、ベンチで一番声を出していた。彼にはやれと言ったことはきちんとやる素直さがあるのだ。

 だから、彼にはとにもかくにも伸びてほしい。ここ数年はくすぶっているが、2015年には爆発して「それ見たことか!」と僕に言わせてほしい。やはり二遊間やサードが固定されているチームは強い。彼が伸びてくれればチームは間違いなく大きく飛躍するはずだ。