新井貴浩監督の就任会見から約2カ月が経った。秋季キャンプも始まり、来シーズンへの期待はますます高まるばかりだ。広島アスリートマガジンでは、これまで、現役時代〜引退後にかけて新井監督の声をファンへ届ける独占インタビューを掲載してきた。ここでは、2019年1月号『永久保存版 新井貴浩』より、インタビューの一部を再編集して掲載する。

 再び背番号25を背負った2016年、新井にとって最高のシーズンとなった。 通算2000安打の偉業を達成し、打線の中心としても打率3割、101打点を記録。 黒田博樹とともに精神的支柱としてチームを優勝に導いたシーズンに迫った。

広島復帰2年目のシーズン、カープはついに25年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた。歓喜の輪の中心には、新井と黒田博樹の姿もあった。

◆頭が真っ白になった優勝の瞬間

ー今季を振り返って、どんなシーズンでしたか?

「日本一になれず最後は悔しかったですけど、素晴らしいシーズンで、僕の野球人生の中でも最高の1年でした」

ー改めて25年ぶりのリーグ優勝についてお聞きしたいのですが、決まった瞬間はどんなお気持ちでしたか?  

「頭が真っ白になったというか、優勝したあの一瞬で苦しかったことがパーンと飛んだ感じになりました」

ー優勝が決まった直後、チームメートの輪の中で黒田博樹投手と抱き合っていました。

「今までのこと、特に苦しかったこと、辛かったことが、頭の中で一気に駆け巡りました。それが報われた思いで涙が止まらなくなりました。黒田さんがその前に号泣されていたので、その姿を見て僕も一気に涙をこらえられなくなりました」

ー緒方孝市監督、黒田投手の胴上げ後、新井選手の胴上げもありました。

「『俺はいいよ』と言ったんですけど、みんなに胴上げをやってもらって、本当にうれしかったですし、最高の気分でした。胴上げの経験も初めてだったので、最高にうれしいのと、『俺はいいのに』と思っていたので、ちょっと恥ずかしい気持ちもありました(笑)」

ー新井選手にとっては初優勝だったわけですが、初のビールかけはいかがでしたか?

「最高でしたね。最高でしたけど、あちこちの取材対応に追われていました(苦笑)。なので自分がみんなにビールをかける時間がほとんどなくて、逆にビールをかけられたのはすごく多かったですね。かけられてるのが9割でかけるのが1割くらいのもんですよ(笑)。なので、もう一回やって今度はたくさんビールをみんなにかけたいと思っています!」

ー今季、自身が残された数字(打率.300、19本塁打、101打点)についてですが、自己評価としてはいかがですか?

「『よくやった』という自分もいますし、『まだできただろう』という自分もいて半分半分ですね。決して納得はできていません」

ー今季は休養を挟みながらのプレーが続きました。

「そのあたりは、監督も含めスタッフのみなさんに任せていたので、自分は良い準備をして、いけと言われたところでいくだけでした。上手く起用していただいたという印象が強いです。昨季は夏場以降に調子を落としてしまいましたが、みなさんのおかげで昨季よりも体調は良かったですね」

ー体調管理についてですが、昨季と変化を加えられた部分はありますか?

「体がしんどい夏場であっても、あえてトレーニングをやるようにした部分はありました。昨季は夏場以降は体がしんどくて休むことの連続でしたが、今季は昨季の反省もあるので、『しんどくても今はやっておこう』と、年間通して体調管理ができたと思います」