新井貴浩監督就任後、初となった2022年ドラフト会議。カープは育成契約を含む全10選手を指名した。支配下指名7名のうち4名が投手、そのうち3名は社会人と、課題と言われた投手陣の整備とともに野手の育成にも注力する方針が垣間見える指名となった。
新たな戦力として期待される選手たち。ここでは、カープが事前に指名を公表していたドラフト1位の高校生右腕・斉藤優汰の強みと特徴を、アマチュア野球に詳しい安倍昌彦氏が語る。
◆ひと冬を超え劇的進化。高校生ナンバーワン投手!
【苫小牧中央高・投手】
斉藤優汰(さいとう・ゆうた)
2004年5月27日生(18歳)/右投左打/189cm・91kg
去年の秋、今年の春と斉藤投手の出場した大会を見てきましたが、ひと冬を超えて、身体的にも技術的にも劇的に変わってきたなと感じていました。
体にも厚みができてきましたし、筋肉量も増えたのではないでしょうか。昨秋はスピードを求めて首を振って投げるようなところが見られましたが、今年はそれもなくなり、頭が動かない状態で体だけが回転するようになりました。また、カーブでカウントを取れるようになったことも大きな武器になっていると感じます。
試合を見ていると、初球の入りをカーブから入れるようになっていました。横振れのない、いわゆるタテに落ちるカーブで、カープの投手でいうならば森下暢仁投手や、前田健太(現・ミネソタ・ツインズ)投手が投げるカーブのようなイメージです。効果的に使えるカーブを習得したことで、本人も、打者を追い込むのがすごく楽になったと言っていました。
また、彼は頭も非常に良い選手だと思います。話をしていても説明能力が高いですし、メディアの取材に対する受け答えも上手く、人間的なセンスも感じます。彼を1位で取れたというのは、カープにとっても非常に良い指名だったと思います。
高卒入団ですが斉藤投手が戦力になるまで、そんなに時間はかからないと思います。野球的な精神年齢の高さや、アンテナの良さ、感受性の鋭さは、教えても身に付くものではありません。そういうものを持っているというのは、高校生ルーキーにとっては非常なアドバンテージです。今年の高校生投手では、ナンバーワンだと思っていました。本当に楽しみな投手だと思います。