11月20日に開幕した2022FIFAW杯カタール大会。日本は23日、優勝候補・ドイツとの初戦を迎えた。前半にミスから失点を許したものの、後半に入ると立て続けに2ゴールをあげ逆転勝利。大方の予想を覆す、まさにジャイアントキリングを成し遂げた。

 決勝弾となる2ゴール目を決めたのが、現在、ドイツのVfLボーフムでプレーする浅野拓磨だ。サンフレッチェ広島でプロキャリアをスタートさせた浅野は今、自身初のW杯の舞台に臨んでいる。

 サンフレッチェ加入当初、期待され続けながらもなかなか思うような結果を残せなかった浅野。しかし2015年シーズン、FC東京戦(4月18日)で待望のJ1初ゴールをマークすると、一気に存在感を増してきた。

 ハリルジャパン(ヴァヒド・ハリルホジッチ/2015〜2018年の日本代表監督)にも初選出された当時・20歳の若き快速ストライカーが、2015年6月号の広島アスリートマガジン単独インタビューで語ったこととは。

恒例となった試合後のウイニングラン、写真中央が浅野拓磨。

◆最高に気持ち良かった“J1初ゴール”

— 今季(2015年)は好調を維持しているようですが、昨季と比較して変化した点はどんなところですか?

浅野 昨季はなかなか得点をあげることができませんでしたが、常にゴールへの執着心を持っていました。その気持ちは毎試合増していきましたし、得点できないことによっての緊張感や焦りに繋がっていました。今季はあまり焦りや緊張感はあまりなく、余裕を持ってプレーできています。昨季、自分のスピードをしっかり活かすことができれば、ドリブルや、裏への抜け出しという点では通用するということを確認できたことが、余裕を生み出しているのだと思います。

— リーグ戦初ゴールとなったFC東京戦でのゴールを決めた瞬間の気持ちはいかがでしたか?

浅野 入った瞬間は「本当にゴールかな!?」と思いました。自分で持っていったので、普通に考えればゴールなんですけど、「旗上がってないかな?」って(笑)。サポーターのところにいく前に一回後ろを振り返って、チームのみんなが喜んでるのを確認してから自分も喜びました。それぐらい実感が一瞬では沸きませんでした。サポーターのところに行って一緒に喜ぶことができて、そのときに初めて、「自分もゴールを取ったんだな」と思いましたね。あれ以上気持ち良いゴールがこの先あるか分かりませんが、ゴールへの気持ちは今も変わっていません。これからもあの喜びを求めてゴールを目指していきたいと思います。

— 初ゴールしたことでいろんな方から祝福があったことと思います。

浅野 本当にいろいろな方から連絡をいただきました。家族からも連絡がありましたね。家族とは点を取れていない時期もずっと連絡を取り続けていたんですが、家族と話すことで点を取れないことをマイナスに捉えるのではなく「次の試合で取ろう」というふうに家族全体で前向きに考えることができました。家族の支えが今の自分の性格にも繋がっていると思いますし、常に前向きにやれていたのは、良かったですね。初ゴールもめちゃくちゃ喜んでくれてました。

— プロ3年目にしてのリーグ戦初ゴールまで、長く感じましたか?

浅野 めちゃくちゃ長かったですね(苦笑)。プロに入ったときは「1年目から点をどんどん決めて活躍するんだ」という気持ちで入りましたが、実際はそんなに甘くない世界でしたし、2年目はやっと自分のプレーを出せるようになってきたのに、ゴールへの遠さを痛感したシーズンだったので、とにかく長く感じましたね。