新井貴浩新監督が就任し、11月13日以降のカープ秋季キャンプでは新たな風が吹いた。2月からのキャンプインに向け、束の間のオフとなるが、来季へ向けての勝負は始まっている。ここではカープOB・笘篠賢治氏に、オフシーズンの過ごし方について語ってもらった。

来季は支配下登録を目指し奮闘する木下元秀(2022年10月1日由宇球場)

◆来季につながる、重要なオフシーズン

 11月23日にファン感謝デーを終えて、カープ選手もオフシーズンに突入しました。秋季キャンプでそれぞれが見つけた反省点をどう修正するかで、来季につながってくると思います。

 オフシーズンが明けると、野手に関しては、守備面は割とイメージ通りに入っていきやすいと思うのですが、打撃面に関しては感覚の部分が大きいと思います。自主的にこまめに打っておかないと感覚が鈍っていくと思うので、シーズンの疲れをしっかりと取りつつ、秋季キャンプでつかんだものがあれば、それを忘れないようにしてほしいです。

 ただ、今の選手はとても真面目ですので、あまり心配はしていません。1月に全体練習に合流した際、ライバルの仕上がりが気になるはずです。それまでにどれだけやっておけるか、『みんなはもっとやっている』という思いを持って取り組めば良い結果につながるでしょう。

 また、オフシーズンは一人で考える時間が増えます。キャンプではコーチがいる中でのトレーニングですが、個人で行うことで、逆に良いものを崩さないようにしなければいけません。春季キャンプまでに取り組んだことが無駄にならなぬよう、その辺りも気にしながら頑張ってもらいたいですね。

 私が現役だった頃は、オフシーズンに球団行事や選手会行事などたくさんあり、合間を見つけては練習をしていました。ヤクルト時代は河川敷へよく走りに行ったものです。肩と肘を手術してからは、寒い時期は痛みがあり、なかなかスローイングの練習ができなかったため、キャンプインしてから苦しかったです。ただその分、他の選手よりも早く、アップシューズではなくスパイクを履いて、真っ直ぐではなくジグザグに走れる状態をつくっていました。下半身をしっかりとつくるのは、寒くても暑くてもできますからね。

◆こだわりを追求できる期間

 バットの形や重さなども日頃から試しているとは思いますが、この時期にいろいろな専門の方と相談し、調整することもできると思います。野球選手にとってバットは大切な商売道具ですし、一流選手になってくると、工場まで赴きストイックにこだわっていたりしますからね。

 また、対戦投手のデータを整理するのも今のうちにやっておくと良いでしょう。シーズン中にまとめていたものを見直すことは大事な作業です。池山隆寛さん(現・ヤクルト二軍監督)は、とても細かくデータ整理をされていたのを覚えています。

 そして、お世話になっている人たちと食事に行ったり、ゴルフをしたりするのも大事な時間です。今はご時世的になかなかそういったことは難しいかもしれませんが、外部とのコミュニケーションを取る機会が意外と少ないんです。私自身も人とのつながりの重要性は、現役中に意識していなかったのですが、引退して実感しました。世間に関して分からないことだらけだと……。野球人生はあっという間ですから、練習に影響しない程度であれば、そういった時間も無駄ではないと個人的には思います。

 ここから春季キャンプまでの約2カ月間、それぞれの選手がケガなく来季に向け、有意義に過ごしてもらいたいです。

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