◆正真正銘のリーダーになるために必要なもの

 リーダーという点で僕が“キクマル”に対して特別な指導をしたわけではない。リーダーが出てきてほしいという気持ちはあったが、僕は特定の誰かをリーダーとして育て上げようという気持ちはなかった。そんな中、彼らは自然発生的に浮上してきたのだ。

 彼らの場合、2人で1人のリーダーと言った方がふさわしいだろう。内野と外野に分かれているが、最初に丸が言ってキクが後押しすることもあれば、キクが言ったあとに丸が後押しすることもある。互いに補い合う良いコンビであり、2人いることで説得力も増している。そんな若い2人をベテラン選手が支えるという図式もまた好ましい。

 2014年のカープは若い“キクマル”を中心に、少し年上の松山(竜平)、小窪(哲也)らが脇を固めて、良い雰囲気をつくっていた。そして梵(英心)や廣瀬(純)は後方から「おまえら行けよ」と若い選手たちを支援していたところがあったかもしれない。

 厳密に言えば、“キクマル”はまだチーム内の誰もが認める正真正銘のリーダーになったというわけではない。そこに行ける資格を手に入れたというか、そのポジションに手をかけたという状態である。

 2015年以降、その座を確立していくためには、いくつかの障壁をクリアしなければならない。まずはレギュラーとして試合に出続けること。そして安定した成績を残し続けること。必ず3割を保ち続ける必要はないが、極端に数字を落としてしまってはメンタルと技術の不安定さを疑われる。あとはなんといってもケガにだけは気をつけないといけない。