思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回は新入団選手会見について、オギリマ視点でゆる~く取り上げる!

◆新入団選手お披露目の場の注目ポイント

 先週12月12日、2023年度の新入団選手会見が行われた。私はこの新入団選手会見を見るのが大好きだ。これからカープの一員になる選手たちのお披露目の場でもあり、質疑応答によってその選手の人となりを垣間見ることができるからだ。何より、初々しい選手たちの、まだ取材慣れしていない感じの受け答えは、見ていて微笑ましく感じる。今回は、そんな新入団選手会見の注目ポイントを挙げていきたい。

【金屏風】

 例年、新入団会見はホテルの大広間で行われ、選手は金屏風を背に会見に臨むという印象がある。この金屏風、実際に目にするのは芸能人の婚約会見か新入団会見くらいではないだろうか。今現在カープで活躍している選手たちも、最初はみんな金屏風の前に立って抱負を述べていた。しかしふと気が付くと、今年の新入団選手たちの背後にあるのは白い布である。一体いつから金屏風ではなくなったのだろうか?遡ってみると、森下暢仁ら2020年度会見までは金屏風であった。栗林良吏ら2021年度会見から白布になっているのである。一体この間に何が起こったのであろうか。その謎を解明したい。

【コメント能力】

 新入団選手はまだ会見に慣れておらず、受け答えもどこかぎこちないという印象を持っていた。「自分をPRしてみて下さい」「………」「目標とする選手、どなたか挙げていただけませんか」「…………」という前田智徳の新入団会見(1990年度)が強く印象に残っているせいかも知れない。一方、今の選手たちはメディア慣れしているのか、受け答えは随分スムーズになっている。今年、その中でも特にコメント能力が高いと感じたのが、育成1位入団の名原典彦であった。ハキハキと聞き取りやすい答え、コメントごとに見せる笑顔、旧市民球場の思い出を語る際に「その時、新井監督は阪神にいらっしゃいましたか……あっ」と、新監督いじりも盛り込むサービス精神。ぜひ支配下登録を勝ち取って、一軍のヒーローインタビューでそのコメント能力を披露してもらいたいものだ。

【面白回答】

 会見中、各選手への質問は代表質問の形で行われ、内容も「自分の持ち味は」「目標としている選手は」「対戦してみたい選手は」といった、ある程度決まったものが多い。そのため、選手の回答もおとなしめの内容がほとんどである。ところが、たまに面白い回答が返ってくることがある。今年最も気になったのは、「自分なりのゲン担ぎ、マイルールがあるか」と問われたドラフト5位入団の河野佳の「トイレの三角折りだけはいつもやるようにしています」という回答だ。新入団会見でトイレットペーパーの話をするのは、後にも先にも河野だけではないだろうか。こうした面白回答は、ファンクラブ会員からの質問に対して出される場合が多い。我々はぜひ、新入団選手から面白回答を引き出せるような質問を考えていきたいものだ。

 ここまでいくつかの注目ポイントを挙げてきたが、一番の楽しみは数年後、華々しい活躍をしている選手たちを見ながら「あの新入団会見の時はこうだったね」と思い出すことである。今年の新入団選手の中から、そうした多くの主力選手が出てくれることを、今から期待している。

 

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オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。