「みなさんを喜ばせ、みなさんの心を真っ赤に燃えさせるようにしたいと思います」

 2022年10月の監督就任会見で力強い言葉を発してから約3ヵ月が経過した。秋季キャンプでは、カープ現役時代からの盟友・石原慶幸バッテリーコーチや、実弟である新井良太二軍打撃コーチらとともに熱のこもった指導をする姿も見られた新井監督。ここでは、監督としてのビジョンを語った独占インタビューをお送りする。

新たに招聘したコーチ陣は、現役時代の新井監督と縁の深い存在も多い。

◆新井監督と縁の深い、4人の新任コーチたち

─監督を引き受けられて、藤井彰人コーチ、石原慶幸コーチ、新井良太コーチ、福地寿樹コーチと4名のコーチを招集されました。監督就任にあたり、最初から考えられていたのでしょうか?

「もちろんです。監督に就任して、まずはヘッドコーチを1番最初に決めないといけない中で、すぐに藤井となりましたね。球団に『藤井でお願いしていいですか?』というと言うと『いいですよ』と言っていただいて、彼にはすぐに声をかけました」

─やはり阪神時代にご一緒されたご縁でしょうか?

「そうですね。同級生ですし、キャッチャーで、すごく視野も広く、深いです。阪神で、現役時代を過ごしているときは、ビジターでもしょっちゅう食事に行って、ずっと野球の話をしていましたからね。彼の見識の広さ、深さは自分が1番良く分かっているので、そこに迷いはなかったです。藤井に頭を下げようと思いました」

─秋季キャンプでは、藤井コーチと話し込んでおられる場面もありましたね。

「やはり、さすがだなと思いましたね。『自分はこう思うけど、どう?』と聞くと、『自分はこうで……』と返ってきて、“そういう視点で見ているんだ”と新しい発見もありました。彼は引退してから、BCリーグ福井にコーチとして行っていますし、阪神の二軍、一軍とコーチ経験が豊富です。そういった中で、自分は指揮官としては新米ですので、コーチ業をしている経験というのは、こちらが聞いていても『ハッ』とさせられるし、発見がたくさんあって頼りになるなと思いましたね」

─石原慶幸コーチに関しては、誰よりも長く時間を過ごされていると思います。

「彼に関しては、オートマチックです(笑)すぐ電話して『こういう風になったから、分かるな。やるぞ』と言うと『は、はい』という感じでしたね(笑)」

─秋季キャンプでは早速熱心に指導される石原コーチの姿がありました。

「やはり石原は現役時代の実績、経験と申し分ないですし、現役を引退してから2年間は外から解説者という立場で野球を見ているし、そういう部分でも見識も広がったと思います。来季は坂倉(将吾)をキャッチャーに固定するので、『サク(坂倉)を頼んだぞ』とも言いました。彼に期待する部分は非常に大きいです」

─そして新井良太コーチは、実の弟さんになります。同じカープのユニホームを着て指揮されるというのはいかがですか?

「特に違和感はなかったですね。カープのユニホームを着ているのは、最初は違和感あったのですが、一緒のチームで携わるのは、阪神のときにやっているので、そこに関しての違和感はありませんでした。ただ、カープのユニホームを着ているというのは、『なかなか似合ってるじゃん!』というくらいに思いましたけどね。もちろん弟ではありますが、ユニホームを着ているときは“弟”という感覚はありません。秋季キャンプでは若い選手に付きっきりで遅くまでやっていましたし、彼に対する期待も大きいです。彼も引退をしてから、二軍、一軍と全ての分野でコーチをしているので、引き出しもたくさんあると思います。そして何より、彼の指導方法が、一方通行ではないので、選手のやりたいことなどをディスカッションしながら、コミュニケーションを取るスタンスがすごくいいなと思いましたね。『こうしろ、ああしろ!』ではないですからね」

─福地寿樹コーチについては、やはり現役時代に足を武器とされていただけに、機動力野球の強化という面が大きいのでしょうか。

「もちろんです。今年のカープは盗塁数もそうなんですが、そもそも盗塁の企図数自体が少なかったですよね。これは、“足が速い・遅い”“盗塁できる・できない”ではなく、全体的に走塁への意識を高めてほしいという思いがあります。もちろん福地さんは盗塁王を2回も獲られていて、走塁に関してはプロフェッショナルなので、その福地さんの経験を、これからの選手に伝えてほしいという思いがあり、『お願いします』と頭を下げましたね」

広島アスリートマガジン1月号は、新井新監督特集第3弾『新井貴浩監督の“全力”所信表明』!新監督を支える選手・コーチ陣インタビューも必見です。