◆ロベルト・クレメンテ賞がルーツ

 このゴールデンスピリット賞は、メジャーリーグの『ロベルト・クレメンテ賞』を参考に創設されたといいます。社会貢献に尽力したプエルトリコ出身のメジャーリーガー、ロベルト・クレメンテ選手に由来しています。表彰がスタートしたのは1971年。古くはカル・リプケンJr、オジー・スミス、サミー・ソーサ、少し前だとアルバート・プホルスやデレク・ジーター、デイビッド・オルティス、クレイトン・カーショウ。最近ではヤディアー・モリーナ、ネルソン・クルーズ、ジャスティン・ターナーなど、メジャーリーグファンにはお馴染みの選手たちが受賞しています。ロベルト・クレメンテ賞は『球場外のMVP』として非常に評価が高く、授賞した選手たちにとっても誇らしい賞として定着しています。人格者であること、競技成績も申し分ないことも求められる賞ですが、メジャーリーグへの移籍が決定した吉田選手も、次はこの賞を狙えるような選手に成長してもらえたらうれしいです。

 最近では、競技を問わず社会貢献に尽力したアスリートを表彰する『HERO‘sアワード』(日本財団運営)などもありますが、こういった表彰制度で世の中が選手の活動に注目する機会をつくることは、社会課題の啓発にもなります。いかなる問題も、解決の糸口は『認知』です。スポーツファンの皆さんが知ることで、さらに支援が大きくなる。それによって課題解決にまた一歩近づくことができるのです。

 選手側にとってもうれしい機会であることは間違いないでしょう。特に日本では「こんな活動をやっているよ!」と自分から発信する文化がなかなか定着していませんので、こうやって第三者から評価されることで、支援活動を行う喜びを高めることができ、それがさらなる支援活動の充実にもつながります。今後もBLFでサポートする選手が一人でも多くゴールデンスピリット賞の喜びを感じられるよう、そして、その喜びをファンの皆さんと分かち合えるよう、精一杯サポートしていきたいと思っています。

岡田真理(おかだ・まり)
フリーライターとしてプロ野球選手のインタビューやスポーツコラムを執筆する傍ら、BLF代表として選手参加のチャリティーイベントやひとり親家庭の球児支援を実施している。著書に「野球で、人を救おう」(角川書店)。

広島アスリートマガジン1月号は、新井新監督特集第3弾『新井貴浩監督の“全力”所信表明』!新監督を支える選手・コーチ陣インタビューも必見です。