◆ファンの方に改めてお礼を言いたい

 もちろん監督をしている以上は、優勝という目標を果たし、みんなと一緒に喜びを分かち合えれば最高だった。だけど自分の役割を考えたとき、行き先を見失っていたチームを立て直し、若い選手たちを鍛え、チームを良い方向に持っていけたというだけでも僕には深い満足感がある。

 そして、改めてお礼を言っておかなければならないのは、ファンの方たちに対してである。監督をしている間、くじけそうになる僕をもっとも力強く支えてくれたのは、なんといってもファンの声援だった。

 特に2年目以降はたくさんのお客さんが僕たちのプレーを後押ししてくれた。“カープ女子”と呼ばれる若い女性ファンが増え、2014年には流行語大賞トップテンに入るほどの社会現象を巻き起こした。

 カープを好きになって、カープの試合を観にきてくれる―監督をやっていて、これほどうれしいことはない。広島の地方球団に、熱い声援を送ってくれるファンがこれほどいる。純粋に野球を愛して、僕たちのプレーに一喜一憂してくれる人がたくさんいる。