思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回は「新成人」について、オギリマ視点でゆる~く取り上げる!
◆未成年のプロ野球選手を見守れる機会は優勝後の・・
先日1月9日は、昨年4月に成人年齢が18歳に引き下げられてから迎える初めての「成人の日」であった。とは言え、ほとんどの自治体では従来通り「成人式」の対象を20歳のままとし、式典の名称のみを「成人式」から「二十歳の集い」に改めたところが多かったようである。
そのうち、和歌山県美浜町で行われた「二十歳の集い」に、小林樹斗が参加したという記事を見た(※注1)。小林は「いままで支えて下さった皆さんに恩返しできるよう、一人の大人として責任と自覚、意思を持ち地域に貢献していきたい」と「二十歳の誓い」を述べたという。地元の方々のみならず、カープファンも期待してしまう言葉である。
考えてみれば、大学卒や社会人野球出身の選手は既に成人式を経て入団しているので、われわれが「プロ野球選手の成人式」を目にすることができるのは、おもに高卒で入団した選手に限られる。高卒入団が多い年というのは、「2年後に彼らの成人式をたくさん見られる」という楽しみもついてくるわけだ。たとえば2020年には、中村奨成や遠藤淳志ら2018年入団の6人の選手が成人を迎えていた。一方今年度20歳を迎えたのは小林と二俣翔一のみで、少し寂しくもある。
既に厳しい勝負の世界に身を置いている選手とは言え、やはり「大人になる」という節目は特別なものがあるのではないだろうか。たとえば高橋昂也は自身の成人式の時に30万円近くするというスーツを購入したというし(※注2)、玉村昇悟は昨年、ともに自主トレを行っていた和田毅(ソフトバンク)らを前に「成人になったので人に迷惑をかけないように、自分のご飯はしっかり自分で食べます」と「新成人の誓い」を宣言していた(※注3)。入団時にはまだあどけなかった選手たちが、次第に大人になっていく様子を見ることができるのも、ファンとしては嬉しいものだ。
ところが冒頭にも述べたように、現在成人年齢は18歳以上となった。つまり今年新入団の斉藤優汰、内田湘大、清水叶人、辻大雅の高卒選手はもう「成人」なのである。次第に「18歳成人式」を導入する自治体も多くなるかも知れず、そうなると未成年のプロ野球選手を見守れる機会はなくなるのか……と思っていたところ、一つだけそれが実感できるイベントがあることに気が付いた。「優勝後のビールかけ」である。
振り返ってみれば2018年のリーグ優勝時、まだ19歳であったアドゥワ誠はビールかけに参加できず、シャワー室で一岡竜司に炭酸水をかけてもらったという話であった。成人年齢は18歳以上になっても、飲酒や喫煙などは従来通り20歳以上からと定められているため、もし今年優勝してビールかけが行われた場合、斉藤らは「炭酸水かけ」になるわけである。その様子をぜひ見てみたいので、何としても今年優勝をしてもらいたいものだ。
※注1:「日高新報」2023年1月4日
https://hidakashimpo.co.jp/?p=85479
※注2:「週刊ベースボールONLINE」2018年12月16日
https://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=046-20181224-07
※注3:和田毅インスタグラムより
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オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。