綺麗にゴールを奪うこと。それが、谷口木乃実が描く“理想のFW”だった。その意識は、広島に来て大きく変わることになる。チームのために、仲間のために。献身的に最前線を駆け抜ける、谷口の思いに迫った。

練習場でインタビューに応じる谷口木乃実。

◆『レジーナのために、がむしゃらに』チームが描くFW像を追い求める

─リーグ前半、全試合にスタメン出場されました。ここまでの手応えと課題は?

「前線からの守備で相手からボールを奪えるシーンが増えてきたことは、良い手応えだと思っています。ただ、そこからなかなかゴールにつなげることができませんでした。ゴールを決める場面で決めきれなかったことは課題ですね」

─2022年11月6日の浦和戦(11月6日、●2ー1)では、セットプレーから今季リーグ戦初ゴールをあげました。

「前節のN相模原戦(10月30日、●1ー2)は、チームに貢献することができず個人的にも悔しい試合でした。浦和戦では切り替えて、自分のストロングである『守備への貢献度』や『裏への抜け出し』を常に準備しようと思って試合に入りました。結果的にそれがコーナーキックにつながり、最後は気持ちで入れたという感じです」

─相手GKの指先を掠めるような、見事なヘディングでした。

「ありがとうございます。実はヘディングは苦手なので、あの時はボールを見ていなかったんです。とにかく必死で、当てたら入ったという感じで……。狙っていたわけではないのですが、なんとか決まってくれて良かったです」

─守備への高い貢献度も印象的です。サッカーを始めた当初から、そうしたスタイルを意識されていたのでしょうか。

「いえ、昔は綺麗にゴールを奪うのがかっこいいと思っていたんです。ただ、広島に来てその意識は変わりました。レジーナがFWに求めるものは、『守備への貢献度』や『チームのためにがむしゃらに頑張れる』という姿勢でしたし、それは練習をしていても感じました。そこからは、チームの描くFW像に向かって私自身も変わっていったと思っています」

─プライベートでは手品や手芸など趣味が多彩だと伺いました。今の趣味は何ですか?

「2023年は、『毎月、何か目標を立てて生きる』ことを目指しているんです。目標と言っても、個人的にやってみたい趣味や興味のあることなんですが……」

─ちなみに、1月の目標は何でしたか?

「1月は、自分の背番号にちなんで『本を13冊読む』を目標にしていました。それはクリアできたので、2月は『パズルを1000ピース完成させる』を目標にしています」

─手品も手芸もパズルも、どれも細かい作業が必要というイメージがありますが、もともと手先は器用だったのですか?

「そうですね。父も仕事で細かい電気系の作業をしているので、遺伝だと思います(笑)」

─これからは、谷口選手の細かいテクニックにも注目していきたいと思います。最後に、3月から再開するリーグ後半戦に向けて、意気込みをお願いします。

「1試合でも多く勝てるように、レジーナらしいサッカーをみなさんにお見せしたいと思っているので、ぜひ広島広域公園第一球技場に観戦にきていただければと思います。後半戦も、応援よろしくお願いします」

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