2005年から12年間をサンフレッチェで過ごし、数々のゴールとタイトル、あふれるクラブ愛でいまも多くの人々に愛されている佐藤寿人氏。

 共に紫のユニホームを着たチームメートがピッチ上で見せた才能、意外な素顔を、広島アスリートマガジンの連載『エースの証言』で振り返っていく。

 今回は、2012年に大宮からサンフレッチェに移籍した、石原直樹にフォーカスする。

2014年、広島の吉田練習場で取材、撮影に応じた石原直樹。

◆共通点が多かったので、フィーリングが合っていた

 (石原)直樹を注目して見るようになったのは2008年。サンフレッチェが降格してJ2で戦ったシーズンで、直樹は同じJ2の湘南でプレーしていました。6月の第18節では5-2で勝ちましたが、僕と直樹が1点ずつ決めているんです。

 選手としてのタイプは異なりますが、同じストライカーなのでクロスに合わせる動きやワンタッチシュートなど、他のストライカーのプレーは気になります。直樹が2009年に大宮に移籍してJ1で対戦するようになってからは、それまで以上に良い印象を持っていました。

 2012年にサンフレッチェに移籍してきた直樹は、すぐチームにフィットしました。僕が1トップ、直樹と(髙萩)洋次郎が2シャドーで、本人は自分に厳しいタイプなので「シャドーは難しい」と言っていましたが、最初から難しそうには見えなかったです。この年はチバちゃん(千葉和彦)も加入1年目で、前線と最終ラインで新戦力が早くチームになじんだことは大きかったと思います。

 この年の僕は、就任1年目のポイチさん(森保一監督)が「ケガなく1シーズン戦い抜くために、フル出場にこだわらなくてもいいんじゃないか」と話してくれたこともあり、交代で退くことも増えました。そのときは直樹が1トップに移り、シャドーに(森﨑)浩司や(大﨑)淳矢を入れて活性化させることができるので、直樹がいることによってポイチさんの選択肢は広がったはずです。

 僕はJ1リーグ開幕5試合で5ゴールを挙げましたが、直樹は第7節まで無得点。でも僕のゴールにも、直樹のアクションでスペースが生まれたことが決め手になっているものがありました。一緒にゴールをつくっているんだよ、という話はしていて、直樹も第8節で初ゴールを決めてからは、お互いがフィニッシャーになったり、スペースをつくったりしながら得点を重ねることができました。

 プライベートでも最初からウマが合いました。2歳年下の直樹とは、お互い若い頃にJ2でプレーして結果を残していたり、どちらも自宅でチワワを飼っていたり、共通点も多くてフィーリングが合っていたんですね。僕はコーヒーが好き、直樹はカフェが好きなので、広島の店を案内がてら、いろいろな店でお茶をしながら話をしました。

後半へつづく

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