新井貴浩監督が率いる2023年新生カープ。チームの和、野手陣、投手陣、そして今年の勝敗の行方まで2021年まで共に戦った安部友裕氏の視点で徹底解説。
「チームが締まり、ギラギラしてきました」
昨年からの変化は、とにかくチームとしての目標が、すごく明確化されているなと感じています。新井監督がしっかりと選手を見て、みんなでやろう、こういう野球をしていこうと、思いをすごく口にされています。だから選手たちもそれを汲み取って、実践しようと準備しています。
報道されているように、どんどん走って行くぞ、動いて行くぞと、監督が言葉にしてしっかりと伝えているので、選手たちは「動いていくんだ、走るんだ」と意識します。オープン戦を見ると、パッとサインが出た時にしっかりと動ける、意識付けがされていますね。
選手は監督が変わると、上に行くチャンスを伺う、やってやろうという意識になるんです。チーム全体が変わるんですよね。それに、選手みんなが「優勝したい、ハワイに行きたい」と口に出すのは珍しいなと思いました。
あの西川龍馬が「マジでやったりましょう」と、円陣の中で口にするなんて。菊池涼介が日南キャンプの最終日に「本当に、みんなが声をかけながら取り組みましょう」とみんなの前で言うなんて。菊は、オレはいいからっていうタイプだったんですけど、僕は本当に驚かされました。新井監督も頼もしかったと思いますよ。
現役時代の新井監督は、とにかく練習をするので、周りも連れられてオレもまだやらないとと思うんです。野手最年長で一番元気があったし、覇気があったし、ギラギラしていました。
ベンチで一番盛り上がっていたのも新井さんです。それを見て、オレもついて行くんだとみんなギラギラして。そんな新井さんが監督になって戻ってきたことで、よりチームが締まり、ギラギラしてきました。
オープン戦前半は、打撃内容をしっかりと見ているとおっしゃっています。打席内で何も感じないのか、振り切れないのか、タイミングが合っていないのか。合っていても結果が伴わなかったのか。
そういったところを見ていると。僕が選手だったら、ヒットが出なくても、良い内容だったと言ってもらえれば、もっと積極的に取り組むことができます。結果だけを見て、試合に出してもらえなかったりすると、次に打席に入ったときに「打ちたい」って思ってしまうんです。そう思うと、すごく打ちにいってしまうものなのです。当てにいきたいと、どんどん近寄ってしまい、間が取れない、変化球に空振る。悪循環に陥ってしまうんです。
でもヒットが出なくても、良い内容だったから積極的に打っていけって言われることで、よし今度はやってやるぞと。チーム的にも良い循環が生まれてくると思います。