4月8日に開幕するプロ野球独立リーグ、ルートインBCリーグ。ここでは編集部独自の、注目チームの監督へインタビューを行い、今季にかける想いに迫る。

 第1回目は就任初年度の昨シーズンは南地区4位と悔しい結果に終わった神奈川フューチャードリームスの川村丈夫監督。「今年はシーズンインからスタートダッシュを……」と上位進出に燃える指揮官へ、今年のチームについてを聞いた。

元横浜DeNAベイスターズの神奈川フューチャードリームス・川村丈夫監督。

―昨シーズンを振り返っていかがでしたか?

「順位こそ地区最下位という結果に終わりましたが、年間通して他球団と歴然とした差が出たわけではないと考えています。シーズンインの4月になかなか勝てず、スタートで出遅れた分を、どうしても最後まで返せずに終わった年でした」

―その点を踏まえて今季の仕上がりはいかがですか?

「調整という点では試合日に雨が重なったことが多く、数は少なくなっています。それでも練習内容でカバーし、良い形でシーズンを迎えられそうです。昨年と同じようにスタートダッシュで乗り遅れないように、それがまず1番のポイントだと思います」

―投打の注目選手を教えてください。

「投手では新加入の関野柊人です。直球は150キロ近く出ますから、ポテンシャルが非常に高い選手です。ただ、大学時代はあまり先発の機会に恵まれていなかったみたいなので、試合経験を重ねてどう変化するのかを期待したいです。埼玉武蔵ヒートベアーズから加入した野村裕樹も面白い選手です。彼も直球をはじめ良い球を投げるのですが、少し気持ちが優しい部分があるので、リーグ2年目ということを考えると、期待を込めて一皮剥けてほしい投手の一人です。打者は主力の選手はもちろん注目ですが、新しい選手では鎌田悠介です。ショートを守っているのですが、本当に守備が良いんです。そこにどれだけ打撃が伸びるかを考えると今後が楽しみな選手です」

―今年のチームは若い選手が非常に多いです。

「昨年から選手層も大幅に変わりました。1からチームをつくる形ではありますが、新キャプテンを中心に、少しずつまとまりが出てきていると思っています」

―お話しにあがったように、2年目となる柿崎颯馬選手が新キャプテンとなりました。

「彼自身、天性のキャプテンシーがあるかと聞かれたら、そうではないのですが、場が人をつくるということもあるので、期待を込めてキャプテンという役割を任せました。この経験から、彼の今後の野球人生や、成長の機会になればと思い指名しました」

―今回、高木勇人投手が兼任コーチに就任しました。

「名簿上は投手兼任コーチとなっていますが、役割的には投手コーチの意味合いが強いです。もちろん選手登録ですので、自身の登板がある時はそれに備えてもらいますが、主に若い投手陣のマネジメントをしてもらっています。『自分以外の管理もしながらというのは難しさも感じる』と本人も言っていましたが、多様な投手陣と良くコミュニケーションを取ってくれていると思います」

―川村監督も横浜DeNAベイスターズでは投手コーチを務めていらっしゃいましたが、“高木コーチ”には何を求めますか?

「彼の場合、1番は経験を若手に伝えることだと思います。NPBで実績があるだけでなく、海外リーグでのプレー経験を持っていたり、様々な経験をしています。選手たちとも、年齢的にあまり離れていないので、良い兄貴分としてまとめ上げてほしいですね」

―監督として2年目を迎えますが、川村監督の考えるBCリーグとは何でしょうか?

「もう一花咲かせる場所であり、今後の野球人生を考える場所だと私は考えています。基本的にBCリーグに来る選手というのは、前のチームで不完全燃焼だった選手たちだと思います。そういう選手に対して首脳陣は起用法を通して、まずは試合に出すこと。その中で野球人生を終える選手も出てきますから、その時にはやりきったと思ってもらえることが大切だというのが個人的な考えですね。また、若い選手ばかりのリーグですから、多く試合に出ることで才能が開花するケースもあります。そういう時は一つでも上のカテゴリでプレーできるように、どんどん後押しをしてあげる。BCリーグの役割はそういうところだと考えています。総じて、“挑戦していく場所”ですかね」

―“挑戦”という点では今年新たに就任された茨城アストロプラネッツ伊藤悠一監督も大きな挑戦かと思いますが、どのように見ておられますか?

「非常に面白いですよね。これまでに野球の指導経験がなく、最初のキャリアとしてBCリーグの監督をやった人材はこれまでにいないと思います。そういう点では、彼の存在もBCリーグらしさと言いますか、野球界にとっても伊藤監督にとっても、良い挑戦になるのではないでしょうか」

―川村監督が考える神奈川フューチャードリームスの魅力はどんなところにありますか。

「やはり多くの地元出身者が所属いるところです。神奈川自体が高校・大学・プロと、野球が盛んな県です。どこかしらで縁のある選手がいると思うので、神奈川県内で試合を重ねるにつれて、ファンのみなさんが『この選手と地元が一緒だ!』と親近感を持ってもらえるチームだというのは、大きな魅力だと思います」

―最後に神奈川フューチャードリームスのファンのみなさんにメッセージをお願いします。

「今年は神奈川にゆかりのある選手を含め、非常に面白い選手が多いチームをつくれていると思います。身近に感じてくださるファンのみなさんの声が、選手のパフォーマンスの後押しになって勝利に近づくと思いますし、選手にとっては上を目指す原動力になります。今年も応援をよろしくお願いいたします」

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 神奈川フューチャードリームスは4月8日にアウェーの栃木県総合運動公園野球場にて栃木ゴールデンブレーブスと対戦。4月9日にはホームで茨城アストロプラネッツを迎え撃つ。