2023年シーズンからカープを率いる新井貴浩監督。2022年10月の監督就任からドラフト、秋季・春季キャンプと着実チームづくりを進め、監督として初年度となるシーズンを走り続けている。ここでは開幕前に行った独占インタビューをお届けする。(取材は3月上旬)

2023年春季キャンプ日南で、選手たちと談笑する新井貴浩監督(写真右2番目)

─監督就任から約半年が経過しました。ここまで監督として過ごした時間はいかがですか?

 「監督に就任したときに、どういうスタンスで選手と向き合っていこうかとずっと考えていました。とにかく選手に身構えてほしくないので、私としては『ありのままで、素のままで接しよう』と思っていたので、自分自身があまり監督という感じがしていないです。選手がどのように感じているか分からないですが、自分としては変わっていません」

─選手時代から『新井さん』と呼ばれることが多かったと思いますが、改めて『監督』と呼ばれることには慣れましたか?

 「『監督』と呼ばれることに最初は恥ずかしさはありましたけど、いまは慣れましたね(笑)。『新井さん』と呼ぶ選手もいれば『監督』と呼ぶ選手もいるのですが、私としてはどちらでも良いですし、慣れましたね」

─監督就任直後に「思ったよりもやることが多い」というコメントをされていました。現在はどのような感覚ですか?

 「たしかに、自分が想像していたよりも決めなければならないことが多い印象です。たとえばキャンプのメンバーにしてもそうですし、投手交代をコーチと相談したり、二軍で調整してもらう選手を決めたり……その時その時で決断しなければならないことが多いですよね。その他にも来賓の方々に対してのご挨拶など、そういう仕事もたくさんあります。監督としてチームを代表している、という意識を持たなければならないですし『良くも悪くもチームが自分の色に染まる』という責任感があります」

─秋季キャンプを経て、監督としてユニホームを着て臨んだ春のキャンプでした。総括していかがでしたか?

 「選手たちに小さなケガはあったかもしれませんが、大きなケガ人がいなかったのは良かったです。加えて床田(寛樹)や森下(暢仁)など故障からの復帰組も順調に段階をクリアできていたので、そういう意味では充実したキャンプでした」

─監督ご自身はどのようなテーマでキャンプに臨まれましたか?

 「自分自身は特にテーマを持たずに臨んでいました。まず、自分が感じたままに行動して、感じたことを素直に言葉にしていました。その中で1日1日を大切に過ごしてきて、監督として臨んだキャンプの1カ月間は本当に時間が経つのが早かったですね。選手のときは、特に若い頃なんて『長いなぁ……』と思っていましたけどね(笑)」

─秋と春で選手を見るポイントが変わった部分はありますか?
 「まず秋と春ではメンバーが違いますし、秋に関しては育成・鍛えるということに重点を置いたものでした。一方で春は主力選手もいるので、育成と調整の春というイメージです。選手と接していて感じたのは、秋と違って、春はシーズン開幕が近づいてくるので、緊張感があって違った雰囲気を感じました」