思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回は人生で初めて訪れた「マツダスタジアム」について、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。

◆またこの球場に来たい。

 4月7日、私は生まれて初めてマツダスタジアムで野球を見た。カープファンになってから33年目の出来事である。

 今まで行かなかった理由はいくつかある。東京在住のため広島に行く機会がなかなか持てなかったということ、そのうち行こうと思っていたら、3連覇の波が押し寄せてチケットが取れなくなっていたことが主な要因だ。もしかしたら私はこのままマツダスタジアムを見ずに死んでいくのだろうか……と諦めかけていたところ、割とあっさりチケットが取れたので、急遽広島行きを決めたのだった。

 試合開始2時間前に現地に到着。シーズンオフのグッズショップを訪れたことはあるのだが、球場内に足を踏み入れるのは初めてだ。見るもの全てが新鮮で、やはりテレビや雑誌で見るのとは迫力が違う。私は試合が始まるまで、グルリと一周できる球場内をウロウロと歩き回った。その中で気づいたポイントを挙げていきたいと思う。

●至るところにカープ坊やがいる
 カープの顔とも言えるキャラクター、カープ坊や。もちろんグッズショップなどでは多くお目にかかることができるが、球場内の至るところにもカープ坊やが存在していた。壁には「DANGER」と制止するカープ坊やとともに「あぶないので乗り出さないでください」と書かれた注意看板、非常口の逃げている人がカープ坊やになっている避難経路案内、カープ赤ちゃんをあしらったベビーカーおきば案内……。球場内のカープ坊やを全部探し出すツアーがあってもいいと思う。

 また球場の外には、カープ坊やのデザインマンホールが設置されている。私は今回、マツダスタジアム開場10周年を記念した、傘まつりモチーフのマンホールを発見したが、周辺には優勝記念バージョンもあるということで、ぜひ全部見たいものだ。

●ベースボール犬ミッキーのプレートがあった
 旧市民球場で、球審にボールを運ぶ仕事をしていたベースボール犬ミッキー。マツダスタジアム開場の年に亡くなり、新球場での活躍を見ることはできなかった。このミッキーの功績を称えるプレートがあることは把握していたが、球団側が「あえて設置場所は明かさない」という方針だったため、どこにあるのかは知らなかった。そのプレートを発見した時は、嬉しさとともに、「この球場でミッキーを見てみたかったな……」としみじみした気持ちが込み上げてきたのである。

●カープギャラリー
 今年3月、新たに正面グッズショップ2階に「カープギャラリー」がオープンした。歴代ユニホームや現役選手の使用していた用具が展示されている。個人的には、昨年引退した白濱裕太のバットが展示されているのが嬉しいポイントであった。

●応援、やはりすごい
 いよいよ試合が始まった。私はコロナ禍中のマツダスタジアムの様子を直接には知らないのだが、今年からは声出し応援が解禁となり、360度からの応援の迫力を感じることができた。これが恐らくこの球場の「日常」なのだろう。この日カープは巨人に4対2で勝利したが、4月を終わってマツダスタジアムでの戦績は9勝4敗、圧倒的な強さを見せている。それはやはり応援の力なのかも知れない。

 試合後、「またこの球場に来たいな」という気持ちとともに帰宅の途に就いた。それが近いうちに実現することを期待しつつ、カープの戦いぶりに注目していきたい。

マツダスタジアムを訪れてオギリマサホが1番グッときたポイント(イラスト・オギリマサホ)

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オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。