10年連続のゴールデングラブ賞が物語る、菊池涼介の超越したその守備力は誰もが認め、そして誰もが感嘆のため息をつかされ続けている。広い守備範囲はもとより、咄嗟の状況判断力、スローイングの強さと正確性。そんな菊池のグラウンド上での思考がよく分かる過去のインタビューを再度お届けしよう(2014年掲載記事を再編集)。

10年連続のゴールデングラブ賞は、カープでは山本浩二以来。

◆頭に入れるというよりも体が覚えている

― 今季も開幕からスタメン出場を続けていますが、昨季141試合に出場した経験からか、今季はよりプレーに落ち着きが感じられます。

「昨年シーズンを通して出させてもらった経験は大きいと思います。いろんな投手と対戦したことである程度どんな軌道でくるか分かりますし、守備に関しても昨季の打者の打球方向などが分かっていることは意味があると思います。そういったものはやっぱり蓄積されていくものだと思います」

― そういった情報は試合の中で吸収して頭の中にインプットされるものですか?

「頭の中に入れているというよりも、体が覚えている感じです。一応スコアラーさんからのデータと照らし合わせながらやっていますけど、今日は今日っていう感じです。僕がその日、試合で見て感じたままなので、(ポジショニングに)絶対的なものはありません」

― ポジション取りのためにはデータや感覚だけでなく、さまざまなことを頭にいれておかなければいけないのではないですか?

「アウトカウントやイニング、点差などですね。ただ、右のホームランバッターでも右に打ってくることもあるので、そういうときは『なんかこっち狙ってんな』って感じて、あまり(二塁)ベースに寄り過ぎないようにしようとポジションを取ることもあります」