―― 中学から投手になり、そこから投手・九里亜蓮が誕生したわけですね。では、今日取材をさせて頂いている岡山理科大附属高での思い出はありますか?
九里 それが、負けた思い出しかないんです(笑)。でも高校3年間は人間的に成長できました。親元を離れて生活し始めて、何もかも自分でやるようになってから親のありがたみを感じたし、礼儀も学んだし、人間的に大きくなれたかなと思います。大学に入学してすぐにレベルの高さを感じて、このままでは大学で通用しないなと思いました。そこからひたすら速い球を投げようと思ってやっていたんですけど、ひとつ上の先輩に東浜さん(巨・ソフトバンク)がいて、それを見て速いだけでは勝てないんだという技術的な部分を学びました。学生から、もう一段階上がって社会に出るうえで大人になるために、人間的に大きくなれたのかなと思います。

―― 実際に、プロに入りたいと意識したのはいつからですか?
九里 それが、記憶はないんですけど、すごく小さなときから「(プロに)行くわー!」って言っていたみたいです(笑)。父親がマイナー選手だったので叶えられなかった夢を、自分が叶えたいなという思いはずっとありました。ただ、将来アメリカに行きたいとかそういうのは考えていないんですけど(本誌2013年11月号の前田智徳氏を指さしながら)こういう選手になりたいです。ひとつの球団に一筋で、『カープ=九里亜蓮』っていう風になれたらカッコイイじゃないですか。そういう選手になりたいです。

―― では、今まで夢に見ていたプロ野球選手への第一歩となるドラフトを終えて、今の率直な気持ちを教えてください。
九里 正直なところ大学野球がまだ終わっていなくて、明治神宮大会(11月16日~)が残っているので、プロに向かってというところに気持ちがいっていないです。神宮大会にはこれまで3回出場していますが、まだ一度も優勝していないんです。自分はやっぱり優勝したいので、優勝に向かっている気持ちの方が強い段階ですね。

―― 秋季リーグではMVPや最優秀投手にも選ばれ、明治神宮大会への切符も手に入れました。まずは大学野球を最後まで全うして、それからプロに向かって気持ちを切り替えたいということですか?
九里 そうですね。他の大学4年生が引退している中で、まだ試合ができるので最後までしっかりやりきりたいというのが今の気持ちです。賞に関しても、実際は野手に助けられて獲ったようなものです。実力で言えばまだまだかなと思います。実際、もっと実力をつけなくてはいけないと思いますし、賞を貰えることはすごく光栄なのですが、実力はまだまだと思って日々精進しないといけないなと思っています。