『鉄板』と呼ばれるサンフレッチェの最終ライン。その一角を担う荒木隼人は、広島がリーグに誇る最強のCBだ。長身と強靭なフィジカルを武器に、2022年シーズンの自陣空中戦ランキングリーグ1位に輝いた。

「今は広島のチーム力が試されている時」そう口にした荒木が語った自身の成長。そして、その思考力を形づくるとある趣味とは。

広島ユース出身の荒木隼人。チームにはユースの後輩選手も増えてきた。

◆メンタルは経験を積むことで育まれる

ープロ1年目から現在までを振り返って、ご自身でもっとも変化を感じる部分はどこでしょうか。

「いろいろなところが変化しているとは思いますが、やはり一番は、メンタルの部分が成長したと感じています。フィジカルの部分では、2022年シーズン終盤で膝をケガしてしまったので、そこからトレーニング前の準備には、よりこだわるようになりました」

ーなかでも特に、メンタル面の成長が大きかったのですね。具体的にどのようなことに取り組まれましたか?

「メンタルは経験を積むことによって育まれると思いますし、僕自身は読書が好きなので、自己啓発の本を読みながら、自分の経験と重ね合わせたりしています。本から情報や知識を得ることでメンタルも安定してきたように感じますし、なおかつ、『図太い』というと少し語弊があるかもしれませんが、そういう気持ちの面での強さも身についてきたのではないかと感じています」

ー荒木選手は、得た知識や思考のアウトプットも得意とされているように感じます。

「自分ではそんなことはないと思っているのですが……ただ、出身が大阪で、人と話をするのは好きなんです。周りからは大阪人っぽくないと言われるんですが(笑)。話すことは本当に好きなので、自分が得た知識を誰かに話して、共感を得られるかどうかを考えたりすることは元々好きでした」

ーインタビューをしていると、相手に伝わりやすいよう丁寧に噛み砕いてお話されている印象があります。こうしたスキルは、広島ユース時代や関西大時代のキャプテン経験を通して身についたものでしょうか。

「それもあるかもしれませんが、一番は、今よく一緒にいるチームメートたちの影響だと思います」

ーそれはどなたですか?

「ユースの後輩の、東俊希とかですね。年下ということもありますが、僕から色々なことを教える場面も多いんです。噛み砕いて、というのとは少し違うかもしれませんが、1から10までをきちんと教える癖がついているのは、そういった周りの存在の影響があるのかもしれません。必要にかられて、ですね(笑)」

ーオン・オフともに、周りからも頼りにされる存在ということですね。ユースのお話が出ましたが、ユース出身選手が多いのも広島の特徴です。チームには後輩にあたる選手も増えてきました。

「近年のユースはあまり上下関係も厳しくないので、チーム内ではあまり年齢は関係ないと思っています。東や松本大弥は、年齢では4歳違うのですが、加入したのが同じ2019年(東は2018年に2種登録)なので、同期のような感覚ですね。彼らも普通に、タメ口でガンガン来てくれます(笑)」