2021年ドラフト6位・末包昇大。恵まれた体格から、特大の一発を放つ和製大砲として期待され2シーズン目を迎えた今季、その能力が徐々に開花してきた雰囲気を感じる。昨日、7月26日にはスタメン起用に見事に応え、3打数2安打4打点の活躍。なかでも4回裏に放った逆転3ランは見事な一撃だった。

昨日7月26日の試合では、逆転3ランを含む4打点の大活躍!

 高松商、東洋大、大阪ガスを経て入団した末包。入団年に26歳を迎えたオールドルーキー、実は打者として注目され始めたのは社会人時代の2020~2021年頃から。東洋大ではリーグ戦17試合に出場し、打率.162、0本塁打と目立った数字を残していなかった。
 それでも名門・大阪ガスに加入できたのは、よほどの潜在能力が見込まれたからだろう。188cm110kgの破格のサイズを持つ末包。入団当時、佐々岡真司監督は「まだまだ粗い」と評していたが、プロ野球選手としての成長はこれからも続くのだろう。

 近年のカープでは、鈴木誠也や丸佳浩、坂倉将吾など20代前半から大活躍する選手が目立っているが、20代後半~30代で一気にブレイクした選手も珍しくない。改めて歴代カープの晩成型の野手を振り返ってみたい(過去の掲載記事を再編集)。

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◆山本浩二

 「ミスター赤ヘル」こと山本浩二もアラサーで大化けした一人だ。
 1969年に法政大から鳴り物入りで入団したものの、1年目は120試合に出場し、打率.240、12本塁打。センターとしての守備力も高かったため、スタメンから漏れることはなかったが、若手時代は打率2割半ば、20本塁打前後の中距離打者だった。
 打者として成長が始まったのは、28歳で迎えたプロ7年目。打率.319で首位打者を獲得すると、初の30本塁打に到達。30歳になった1977年に44本塁打を放つと、5年連続で40本塁打超を放ち、確固たる主砲へと成長を遂げた。

◆緒方孝市

 20代後半から3年連続で盗塁王に輝いた緒方前監督も打撃の絶頂期はアラサーになってからだった。それまでも高い出塁率を記録していたが、30歳で迎えた1999年に長打力が爆発。主に1番打者として、132試合に出場し、打率.305、36本塁打をマーク。自身初の30本塁打に到達した。
 2000~2001年は右膝や左太ももの怪我で出場機会が激減したが、2002年には再び3割20本塁打に乗せて復活。30代半ばにして4年連続20本塁打を記録している。ちなみに2000年に代役としてブレイクを果たしたのは、28歳の木村拓也。プロ10年目のシーズンだった。

◆嶋重宣

 「赤ゴジラ」の異名で知られた嶋重宣のブレイクもやや遅め。2003年までのプロ9年間で110試合にしか出場していなかったが、28歳になる2004年にスタメンに定着。その年、137試合に出場し、打率.337、32本塁打を記録。一気に本格化を果たした。
 そもそも1994年にドラフト2位で東北高から入団した際は投手。1999年に野手転向し、バットに磨きをかけてきた。それでも厚い外野層に阻まれ、ブレイク前年の2003年オフには戦力外になりかけている。

◆上本崇司
 現役で、30歳を超えてからブレイクした選手の筆頭といえば上本だろう。カープが誇るユーティリティプレイヤーで、上記の3選手のような長距離打者ではないが、今のカープにとって欠かすことのできない重要なピース。
 「オンリーワンの選手だ」と新井貴浩監督も、上本の存在価値を十分に評価している。2022年プロ10年目で初本塁打を放つなど『10年目のブレイク』を経て、今シーズンも波に乗っている。

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 冒頭の話に戻るが、末包昇大は今年27歳、同年ドラフト3位・中村健人も26歳。ルーキー以外にも20代半ば~後半の逸材は多い。昨季は不振に終わった堂林翔太もまだ31歳。歴代の名選手に照らし合わせれば、彼らはこれから脂が乗り、待望の大ブレイクを期待せずにはいられない。