2023年、5月。雨が降りしきるピッチを退く背番号11の目には、光るものが浮かんでいた。ルヴァン杯決勝ぶりに見せた涙は、うれし涙ではなく、悔しさから滲んだもの。だが、全治不明のケガにより戦線離脱を余儀なくされた若きエースは、その3カ月後、2万人を超えるファン・サポーターの見守る前で、見事に復活を遂げてみせた。

 2023シーズン、プロ2年目にしてクラブにとって欠かせないピースとなった満田誠。その復帰までの道のりを辿る。(インタビューは2023年9月収録・全3回最終回)

2022年には初の日本代表にも選出され、代表デビューも果たした。(写真は2023年撮影)

チームの象徴から受け継いだ背番号。結果でサポーターの期待に応えたい

ー満田選手が広島アスリートマガジンに初登場したのは、2022年・7月号です。当時の背番号はまだ『39』でした。今シーズン、背番号『11』を背負うことになった時の思いは?

「僕の前に11をつけていた佐藤寿人さんは、僕自身というよりも、広島でサッカーをしている選手、広島のサッカーを見てきた方なら誰でも知っている選手だと思います。誰もが憧れるような、偉大なストライカーというか、チームの象徴というイメージがあります」

ーその佐藤寿人さんの背番号だけでなくゴールパフォーマンスやチャントも引き継いでいます。サポーターからの期待の現れでもあると思いますが、満田選手自身はどのように感じていますか?

「2022シーズンに比べて、試合の前や試合後のラウンドの時に自分のユニホームやグッズを持ってくださっている方は間違いなく増えたと思っています。僕への期待がそこに現れているのかなと感じているので、毎試合、その期待に応えられるようなプレーを心掛けてやっていくだけだと思います。ファン・サポーターのみなさんの応援の声量や、スタンドが紫で埋まっている景色を見ると、すごくホームを感じることができます。アドバンテージに背中を押してもらえているという感覚はあるので、これからも、みなさんの思い出や記憶に残るようなゲームを見せていけたらと思います」