新井貴浩監督1年目となった2023年、話題の1つとなったのが「坂倉将吾の捕手専念」。捕手としてプロ入りした坂倉は、2021年には一塁と併用でリーグ2位の打率をマークし、2022年は主にサードとしてチームトップの打率を記録するなど、打撃力を生かした起用法が続いていた。

 2022年秋、就任したばかりの新井監督は坂倉を“本職・捕手”に専念させる方針を打ち出した。ブランクと戦いながらも正捕手として120試合に出場し、打っては打率.260、12本塁打をマークするなど、新井カープの主力として存在感を見せつけた。

 ここでは、2023年シーズンに開幕から攻守において奮闘を続けた、背番号31の昨年のインタビュー(2023年8月収録)を改めて振り返る。(全2回・前編)

石原慶幸コーチから指導を受ける坂倉将吾。

◆捕手の期間が空いたことで、ゼロからつくっていく思いだった

─今シーズンは捕手一本でプレーされています。感覚は全く違いますか?

「今年は監督も首脳陣も変わって、僕自身もまたポジションが捕手に変わったこともあって、 違った感覚はありますね」

─新井新監督の元でのチームの雰囲気をどのように感じていますか?

「チームの雰囲気はすごく明るいと思いますし、本当に一体感というか、みんなで勝つという雰囲気があると思います」

─監督の姿を拝見していると、体で喜びを表現されるなど印象的です。選手の立場からどのように感じていますか?

「シーズン開幕日のミーティングで新井監督から『苦しい時は俺の姿を見てくれ』という言葉がありました。そういう言葉であったり、普段の監督の姿を見て僕たちが引っ張られる部分はありますし『なんとか監督を胴上げしたい』という気持ちになっています。しっかりついていきながら、頑張りたいと思っています」

─その新井監督から『捕手一本』を告げられたときの思いを、改めて聞かせてください。

 「昨年は主にサードを守って、全試合に出るという目標があるなかで充実感がありました。僕としては『サードでも捕手でもどちらか1本』という思いを持って今シーズンに入ろうと思っていました。そこで、捕手一本ということを伝えられて、身が引き締まりましたし、覚悟を持ってやらなければいけないなと思いました」

─坂倉選手は捕手としてプロ入りされています。捕手への思いはどのような度合いで持たれていたのでしょうか。

 「捕手して入団したなかで、ある程度バッティングも評価してもらったと思うのですが、もちろん捕手としても、少しは評価してもらって、プロに入れたと思っています。その評価してもらった捕手というポジションで頑張りたいという思いはありました。今季に関しては『言われたところで』と思っていたなかで、捕手ということで、しっかりやらなければと思っています」

─捕手としては、ブランクがあるなかで再チャレンジとなりました。

 「なかなかうまくいかないことも多かったですし、自分のなかで感覚がつかめないことばかりでした。元々めちゃくちゃうまくやってたわけじゃないですし、捕手の期間が空いたということで、本当に自分の中では、ゼロからまたしっかりつくっていかなければいけないという思いでした」

─経験されていても、感覚的に戻す難しさがあるのですね。

 「昨季は捕手練習もできていませんでしたし、サードとは全く違う動きになってしまいますからね。もちろんサードを守っていた経験が生きていることも多少なりともあると思っています」

─配球、リード面も捕手の重要な要素となると思います。1年間のブランクを経て、どのような部分を大切にされていますか?

 「投手陣となかなか練習時間が合わない部分もあるので、話せるタイミングで話すことを大事にしています。試合後でも翌日でも、コミュニケーションを意識しています。もちろん自分の意見もありますが、投手陣の方々の話をしっかり聞いて、擦り合わせながらやっています」

─リードにはさまざまな考えがあると思いますが、自身の打者目線で組み立てることもあるのでしょうか?

 「全てではないですが、たまに自分の打者目線と照らし合わせてしまって、ミスをしてしまうこともありますし、逆に成功したりすることもあります。そこはいろんな考えが出てくる時もありますし、偏ってしまうこともありますし、やはり難しいところですね」

─今季から石原慶幸さんが一軍バッテリーコーチとなりました。坂倉選手にとってどんな存在でしょうか。

 「今まで、捕手をやってきたなかで、いろいろコーチに教わってきて勉強になったこともたくさんあります。そのなかで今季から石原コーチになって、いろんなことを教わっています。さまざまな経験をされてきた方です。僕にとってはすごく偉大であり、ありがたい存在です」

─石原コーチの指導を受けるなかで、印象に残っている言葉などはありますか?

 「いろいろ言っていただいていますが、ゲームに関することが多いですね。技術的なことに関してはいろんな基本を教えてくださっています。ゼロからやっていこうと思っているなかで、感覚的には捕手の土台ができつつあると思っています」

─捕手陣には経験豊富な會澤翼選手もいますが、どんな存在ですか?

 「ここまで僕もチームも含めて、會澤さんがいないと、ここまでは来れなかったなと思っています。それだけ大きな存在ですね」    

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