2024年のカープ春季キャンプは西川龍馬のFA移籍により1枠空いた外野ポジション争いが注目された。候補選手の中で期待される1人が末包昇大だ。プロ2年目の昨季、持ち前の長打で存在感を示し、初の二桁本塁打をマークした。

 キャンプ直前の故障により出遅れているものの、チーム屈指のパワーを誇る右の長距離砲にかかる期待は大きい。ここでは、レギュラーポジション確保に燃える、背番号52の決意に迫った。(全3回/3回目 ※取材は2024年1月中旬)

キャンプは復帰を目指して二軍で過ごした末包選手

◆変わるために過ごしたオフ

─オフには西川龍馬選手がオリックスへ移籍となりました。どのように捉えていますか?

「いつもよくしていただいていたので、一番は寂しさがありました。本当にすごい選手ですし、FAは西川さんが得た権利ですからね。そう思う一方で、自分にとっては外野の枠が1つ空いたわけですから、チャンスだと思っていますし、しっかりそこを狙っていきたいと思いました。もともと、外野のレギュラー陣を追い抜いてポジションを奪いたいと思っていたので、よりその思いが強くなりました」

─オフはメディア出演など多忙だったのではないでしょうか?

「そうですね(笑)。ありがたいことに昨年以上に声をかけていただいて、人気選手はこれ以上のことをやっているんだと思いました。人前で話をすることは苦にしていませんが、練習時間を確保することも難しくなるんだと実感しました」

─年始から鈴木誠也選手(現・カブス)と2年連続で自主トレを共にしました。

「シーズン中の自分なりの感覚を誠也さんに話して、答え合わせじゃないですけど、いろんな話ができました。改めて参考にしていた選手と練習できることは本当にありがたいと感じました。実際に接していると、面白い人ですし、充実した期間でした。技術的進歩も含めて、良い時間を過ごせました」

─どのような点を重視されていたのですか?

「誠也さんやトレーナーの方に下半身の動き、股関節の動きをアドバイスいただきました。昨年よりも良くなっていると言われましたが、もっと柔らかく、使える範囲を広げられるとアドバイスしていただいたので、そこを重点的に継続したいと思っています」

─そして護摩行も話題となりました。

「シーズン中から、監督や石原(慶幸)コーチ、會澤(翼)さんから、冗談交じりですけど『行くやろ?』みたいなことは言われていたんです。そのときは、迷っていたんですが……秋季キャンプのときに『なんかダメだな』という感覚となり、自分の中で火がついて『挑戦してみよう』と思って、會澤さんに連絡させていただきました」

─体験されて、いかがでしたか?

「3日間体験させていただきましたが、すごくきつかったですね。『せっかく、こんなに辛い思いをしたんだから、自分に負けてたまるか』だとか、諦めようとする自分がいたら、この護摩行を思い出して、もっと頑張ろうという気持ちになれると思います」

─プロ3年目のシーズンとなりますが、周囲からの期待度、注目も高まっています。

「昨年頑張った成果だと思いますし、期待していただくのはとてもありがたいことだと思います。自分のなかでも昨年1年間やってきて、飛び越えたプランというよりも、段階を踏んでやった結果でした。いきなり『4番を打ちます!』ではなく、まずはレギュラーを取って、結果を出さなければならないと思っています」

─ご自身のなかでは、順調に来ていると感じていますか?

「僕のなかではプロ入りしたときに、3年以内に大きな結果を出さないといけないと思っていました。昨年は1年を通した結果ではなかったので、今季は本当に勝負の3年目だと思っています。昨年頑張った分のチャンスはあると思うので、それをしっかり活かして頑張りたいです」

─今シーズンの具体的な目標を聞かせてください。

「ホームラン数は昨年11本だったので、最低20本は打ちたいです。そこから30本を目指したいです。加えて打点ですね。僕はここを増やしていけば、自然とチャンスをいただけると思うので、そこを目指してやっていきたいです」

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