2年目を迎えた新井カープ。開幕直後から新外国人選手の離脱や、4試合連続完封負けを喫するなど我慢の試合が続いた。しかし粘り強い戦いを展開し、5月31日時点ではセ・リーグ首位に立っている。ここではカープOBの笘篠賢治氏が、カープの現状について見解を語る。

序盤から安定した打撃を展開する野間峻祥

◆追い込まれてからの粘り

 オープン戦では打率.091と苦しんだ野間峻祥ですが、開幕から好調な打撃を見せ、5月24日のDeNA戦では3年ぶりの本塁打を放つなど、カープ打線で欠かせない存在になっています。

 昨季までとの大きな違いは、ファーストストライクを見極めている点ではないでしょうか。カープは積極的に打つ打者が多いなかで、野間なりの配球の読みを意識しているからこそ、見送ることが多くなっていると推測しています。またそれは、追い込まれてから粘れる自信がある裏返しだと思います。そのあたりも好調に繋がっているのでしょう。

 そして、率が安定している野間とは対照的に、打撃で苦戦しているのが坂倉将吾です。2人の違いを見てみると、野間はグリップのトップの位置が決まっているところで打ちにいったり見送ったりしていますが、坂倉はトップの位置が定まっていないように感じます。

 グリップを左肩の上に置いている野間と、身体の前のベース側に置いている坂倉。打撃フォームの違いはありますが、坂倉はトップの位置に返ってくるのが浅く、グリップが常に身体の前にあり、そこから振り出しているように見えるので、間も取りづらく、見送り方もあまり良くないように見えます。

 坂倉と体の使い方が近い選手を他球団で探してみると、ソフトバンクの近藤健介が似ている気がしています。近藤は身体の前で構えながらも、左耳の後ろ、左肩の身体の近いところにトップが収まって、一瞬止まって待っているように見えます。坂倉の場合はバットが常に動いていて、トップに来たと思ったら手が出ています。間のとり方をどうやったら改善できるのか。好調な打者の要因をパーツごとに見てみると良いと思います。筒香嘉智や村上宗隆も構えたときに手が前にあるタイプの選手です。自分との違いを研究して、調子を上げてもらいたいです。

 話しを戻しますが、野間はレフト線の逆方向にもライナー性の強い打球を打てていまうっし、擦って打ち上げることが減りました。このような点は同じ左打者の矢野雅哉あたりも参考になるはずです。左打者では秋山翔吾も状態が上がってき、小園海斗も好調を維持しています。坂倉も含めて同じチーム内で切磋琢磨していってもらいたいです。