─ 投球フォームの変化も話題となり、春先には「新投球フォームはまだまだ100%ではない」とお話しされていました。シーズン通じて感覚はいかがでしたか?
「シーズン中もきっかけを与えていただいたパフォーマンス・トレーナーの手塚(一志・上達屋)さんと試合終わりに話をさせていただいていました。長丁場ではどうしても疲れで崩れてくる部分がありますからね。それを毎回修正しながらマウンドに上がるようにしていました。それでもまだまだ体の使い方が100%染み込んでいるわけではありませんし、そこはいろんな話を照らし合わせて、良い状態に少しでも修正できるように継続してやっていきたいと思っています」

─ 体の使い方を修正するとき、一番意識したのはどういうところですか?
「プレート踏む軸足の粘りですね。体重移動をするときにギリギリまで地面を蹴る、粘るというところを特に意識していました。試合中にフォームにズレが出たとしても、そこを意識して粘るイメージを持ったら、バランスが戻ったりするので、僕の場合はそれを大事にしました。今まではその日その日でチェックポイントも違っていたというか『こうやれば良いのかな? やっぱりこうやれば良いかな?』というように、ぼんやりとしたイメージでした。ですが今ははっきり明確なものがあるので、そういったもので修正できていたと思います」

─ 修正ポイントを得たことでメンタル的な安定感も出たのでしょうか?
「そういうことをやれば、ある程度調子が戻ってくることが分かりましたし、仮に戻らないとしてもその中で『ゲームをつくっていこう』と割り切った考えでやれるようになったと思います」

─ 暑さが厳しかった今季の夏場は投球面に影響を及ぼすことはあったのですか?
「夏場はいつも球質が落ちていたんですが、今季はそんなこともありませんでした。仮に調子が悪いときであったとしても、その中で『どのように試合をつくっていこうか?』という考えでやれたと思いますし、対戦打者のデータなどをより頭に詰めてマウンドに上がるようにしていましたね」

─ 調子が悪い中でもそのような考えとなるのは、やはりストレートへの自信が力となっているのですか?
「やはり、そこが大きいと思います。『昨季までのストレートと感覚が違う』ということを相手チームに印象づけられているので、たとえばストレートが良くないと自分で感じる日に変化球を多めにした組み立てで攻めたとき、相手がそれに対応しきれなくなっていたりということもあり、変化球を軸に試合をつくっていくこともできています。なので、ストレートの質が向上したことで、変化球も生きてきていると思いますね」