そんなフォークを止めるのはとても大変なことでしたが、どんな球でも正確に止めるのが捕手の仕事ですし、そうやって投手との信頼関係は高まっていくものだと思っていました。永川のフォークは空振りが取れる球ですし、彼にとっての勝負球ですので、たとえベースの前でバウンドしたとしても僕の中では絶対止めてやるという意識しかありませんでした。

 お世辞にもコントロールが良いと言える投手ではありませんでしたが(苦笑)、それを補うだけのフォーク、そして力強い直球も持っていました。またその直球があったことで彼のフォークボールはより効果的に使うことができました。走者が三塁にいる場面であれば落ち球を投げづらい気持ちも少なからずあったと思いますが、そこでフォークの選択肢を消してしまったら彼の最大の武器が使えないわけですし、走者が三塁にいる場面であっても僕から『自信を持って投げてこい』というメッセージを込めてフォークのサインを出したこともありましたね。


(広島アスリートマガジン2019年11月号から一部抜粋・続きは本誌にて掲載)


▼ 石原慶幸(いしはらよしゆき)
1979年9月7日生、40歳。01年ドラフト4巡目でカープに入団。
入団2年目の03年に116試合に出場すると、以降正捕手として活躍。1学年下の永川とは03年からバッテリーを組み、永川が守護神として活躍した06年以降は、頼れる女房役として幾度も勝利の瞬間を演出してきた。