昨季、球団史上初の最下位に沈んだものの、『開催地枠』として出場した、独立リーググランドチャンピオンシップで準優勝に輝いた、ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブス。新監督には元ロッテで活躍した山下徳人氏が就任した。巻き返しを図るシーズンに向け、山下監督に今季の展望を聞いた。
◆レギュラーは白紙。どんな競争をするか楽しみ。
―球団は昨年、球団史上初となる、リーグ最下位だった一方、グランドチャンピオンシップ(以下、グラチャン)では準優勝という結果も残しました。独立リーグの性質上、勝つことが全てでないという見解もございますが、この結果をどのようにとらえていらっしゃいますか?
「投手陣を中心に故障者が多く苦しいシーズンでした。幸いなことにグラチャンの出場は決まっていたので、8月に首脳陣で話し合い、『グラチャン優勝』を目指そうと、目標をシフトしました。これはシーズンを諦めるということではなく、チームが優勝争いから離れてしまうとどうしても選手たちは個人プレーに走りやすくなってしまいます。そこでチームを締め直す意味でも、別の目標をセットしました。清水(武蔵=オリックス育成2位)や石川(慧亮=退団)は、そこから成績をもうひと伸びさせましたし、グラチャンでも良い試合をすることが出来ました。そういう意味では収穫のあったシーズンだと思います」
―山下監督はこれまで、二軍監督やコーチ、スカウトといったポジションを担当されてきましたが、監督として迎える今季はどのような野球を目指していきたいとお考えですか?
「理想の野球は大胆かつ繊細という感じで、守備力や投手力で失点を抑えつつ、豪快に打ち勝つ野球がしたいです……がそうも言ってられません。昨年は清水や石川が打つけれども、なかなか打線としてつながりがありませんでした。今年は彼らがいなくなり、小粒にはなるかもしれませんが、どこからでも点が取れて、つながる打線をつくりたいと思っています。あとは『独立リーグらしい』と言いますか、勝ちながら選手を育てるということを大事にしたいですね。ロッテで二軍監督をやっていたときも『選手ファースト』でやっていましたが、もっと選手がアピールできるようにやっていきたいですね」
―今季監督が特に注目している選手を挙げるとすると?
「レギュラーは完全に白紙です。既存の選手ですと、小倉(由靖)、菅野(秀斗)はレギュラーに近いですが、DHを含めて残りの7ポジションは、何も決まっていません。実戦でやってみないと分からないですし、これから選手たちがどんな競争をして、誰が勝ち残るのか楽しみです」
―では、最後に新加入選手の中で特に楽しみな選手を教えてください。
「ピッチャーならブラジル代表候補に選ばれている、アルベス・リュウ(東京国際大)に期待しています。大学時代はあまり登板機会がなかったのですが、球が速くて面白い存在になりそうです。野手では三方(陽登/駒澤大)が楽しみですね。とにかくポテンシャルが高い選手です。大柄(189センチ・97キロ)で、足も速くて肩も強いので、センターかライトで期待をしています。大学の途中まではピッチャーもやっていましたが今回は野手一本です。あともう一人挙げるなら地元出身の中村(星哉/宇都宮短大附高)です。ショートを守れて、バッティングも良いものを持っています。独立リーグには球の速いピッチャーが多いので、高校を出てすぐに結果を出すというのは大変だと思いますが、ぜひ、ショートで競争してほしいです」
◆山下徳人(やました・のりひと)
1965年10月11日生まれ 和歌山県出身
野球歴:箕島高-東洋大-ロッテオリオンズ/千葉ロッテマリーンズ(1988~1998)
指導歴:ロッテ(1999-2003,2014-2017)