結果だけを見れば、復活に向けて弾みがつく待望の白星と見ることもできるだろう。しかし、その内容に目を向けると2四球を許すなど、制球力が自慢の背番号21からすれば決して本調子ではないことは明らかだった。

 「やっぱり一番球が早かった頃と比べると、スピードが出ていない部分もあります」  

 そう語るように、登板した試合ではストレートの最速は140キロ代前半と苦しい投球に。そして7月9日の中日戦での3失点が引き金となり、これまでブルペンを支え続けてきた戦友とも言える今村猛の後を追うように二軍降格となった。

「ある程度(投球について)割り切らないといけない部分はあると思います。しっかり丁寧にコースをついて投げていければと思いますし、どういう形でも0で抑えていくことが自分の役割だと思っています」

 キャリアの中でスタイルチェンジを求められる投手は決して少なくない。中﨑にとっては、今季がそのシーズンなのかもしれない。いずれにせよ多くの修羅場を乗り越えてきた右腕の存在は、現状の若手の多いブルペンメンバーを考えると、シーズン終盤に向けて必ず大きな力となるはずだ。

「リリーフである以上、もちろんストッパーを目指してやっていきたいと思います。ただそこにいるのはあくまでも結果を残した投手だと思うので、まずは自分も一から結果を出していくだけですね」

 二軍降格後、中﨑は三軍メンバーとして実戦登板から離れて自身の課題と向き合いながら汗を流し、必死の調整を続けている。8月4日に由宇練習場で行われた実戦形式のシート打撃では、ベテラン・石原慶幸とバッテリーを組んで登板。小園海斗に三塁打を打たれたものの、後続を打ち取り無失点に抑える投球を見せた。

 対外試合への登板の見込みはまだ立ってはいないものの、一軍の巻き返しのためには右腕の1日でも早い再登録が望まれる。3連覇の最終イニングを任され続けてきた背番号21は、ここから不屈の闘志を見せるのみだ。