チームの勝敗を左右する、緊迫した場面に登場するのが『代打の切り札』。一打席で期待に応える準備力と、結果を出すための高い集中力を求められる難しい役割でもある。ここでは、カープが誇る『代打の切り札』を振り返っていく。
◆ビッグレッドマシンの右の切り札・町田公二郎
右の大砲として活躍した強打者。1990年代後半から2000年代前半には代打としての出場機会が増え、ここぞの場面で効果的な一打を放ち続けた。1996年には代打で9打席連続出塁をマーク。セ・リーグ記録でありプロ野球史上2位でもある、代打での20本塁打を放っている。4本の打満塁本塁打、9年連続代打本塁打はいずれも日本記録だ。
●町田公二郎(まちだ・こうじろう)
1969年12月11日生、高知県出身。明徳義塾高-専修大-1991年ドラフト1位-広島(1992-2004)-阪神(2005-2006引退)
◆鍛え上げた腕を見せて勝負・浅井 樹
「他チームならレギュラー間違いなし」と言われた実力を持つ左の切り札。勝負強いバッティングで確実に結果を残し、代打で489打数154安打、8本塁打、93打点、通算打率はセ・リーグ歴代3位となる.315を記録している。袖をまくり上げ、鍛え上げた右腕を見せながら打席に入る姿を覚えているファンも多い。右の町田・左の浅井ともに強靭な肉体から放つ一撃が特徴のパワーヒッターで、特に1996年の代打での打率はそろって4割を超えていた。
●浅井 樹(あさい・いつき)
1971年12月14日生、富山県出身。富山商高-1989年ドラフト6位-広島(1990-2006)
◆代打コールで球場の雰囲気を一変・前田智徳
落合博満やイチローなど球界の数多くのレジェンドたちからその打撃は一目置かれ、選手生命を脅かされるケガに苦しみながらも長年カープ打線の中心として活躍した「孤高の天才」。2007年には通算2000安打を達成した。現役晩年は代打での起用が増え、2012年は43打数16安打9打点、打率.333、2013年は11打数4安打4打点、打率.364という代打成績を残している。
●前田智徳(まえだ・とものり)
1971年6月14日生、熊本県出身。熊本工高-1989年ドラフト4位-広島(1990-2013)
◆カープ黄金期の代打の切り札・西田真二
無類の勝負強さを武器に、1980年代から1990年代にかけて代打の切り札として活躍したのが西田真二。1982年ドラフト1位で法政大から入団も、当時外野レギュラー陣の層が厚いこともあり、代打として結果を残し続けた。プロ1年目の1983年には4連続代打本塁打の記録をつくった。13年の現役生活の大半を代打として過ごしたが、1991年には4番として打線を牽引し、リーグ優勝に貢献している。
●西田真二(にしだ・しんじ)
1960年8月3日生、和歌山県出身。PL学園高-法政大-1982年ドラフト1位-広島(1983-1995引退)
◆カープ黄金期の代打の切り札・小窪哲也
任されたポジションを攻守において器用にこなすユーティリティプレーヤーとして活躍。2014年には代打打率.389と大活躍。翌2015年の代打成績も62打数19安打、打率.380、1本塁打、15打点、出塁率.500と、勝負強さを発揮。リーダーシップを発揮しながら2016年からの連覇にも大きく貢献した。
●小窪哲也(こくぼ・てつや)
1985年4月12月生、奈良県出身。PL学園高-青山学院大-2007年大学生・社会人ドラフト3位-広島(2008-2020)-ロッテ(2021引退)