カープ球団を支える人たちは、どんな仕事をしているのか? ここでは、さまざまな立場・場所からチームを支える人たちにスポットライトを当て、裏側のお仕事について探っていく。今回は球場内の様々な場面を切り取る、球団カメラマンの石川凜さん。現在の仕事内容や、やりがいなどについて話を聞いた。(全2回/第1回)

毎シーズン熱戦が繰り広げられるマツダ スタジアム

◆カメラマン総動員で構える “記録達成の瞬間”

 2023年に広島東洋カープに入社して、今年の3月で3年目を迎えました。私は千葉県の出身ですが、両親がカープファンだったこともあり、私も生まれた時からカープが身近な存在でした。大学時代は、日本大学芸術学部写真学科で写真についてを学び、いろいろなご縁がつながったことでカープに入社させていただくことになりました。

 現在は企画デザイン室撮影チームという部署に所属しており、デザイナー、カメラマンを合わせて14名所属しています。主に球団カメラマンの仕事には選手の練習風景や試合撮影、その他、イベント撮影、来場者撮影などがあり、私は選手以外の撮影をメインに担当させていただいています。

 試合日のスケジュールは、ナイターの場合は開門までは主に前日撮影した写真の整理や、ホームページに掲載している来場者フォトなどをまとめています。またその日にどういうイベントがあるのかをチェックし、撮影ポイントなどを考えています。

 開門の16時から試合開始30分前までの1時間半は、コンコースなどを歩いているお客さんの来場者フォトを撮影します。球場に来てワクワクされている方を察知しながらお声がけしていて、もちろん苦手な方もいらっしゃるので、雰囲気を壊さないよう考えつつ、ちょっと目が合う方がいらっしゃれば、積極的に声をかけに行きます。試合開始30分前になると、当日のセレモニー撮影のためグラウンドへ移動し記念撮影をします。

 試合が始まると、その日に即時リリースする写真をセレクトし、各部署へ提出します。提出が終わり次第、マスコット交流や、いま行っている『わが町魅力発信隊』や、地域イベント関連の様子を撮影していきます。併せて球場の内観の写真などの『素材集め』も行なっています。

 カープ選手のみなさんが節目の記録を達成したり、カープがサヨナラ勝利したときなどに発売されている『記念Tシャツ』ですが、サヨナラのシチュエーションになると、球団カメラマンがほぼ総動員で、さまざまな角度から撮れるように張り付いてその瞬間を狙っています。

 サヨナラとなると、写真を撮り終わり次第すぐ数枚の写真をセレクトして、デザイナーさんにお渡しします。その後、デザイナーさんがどういう画角の写真を使うかを決め、デザインは翌日には完成となります。

 私たちの仕事としては、撮影から写真セレクトまでになるので、最終的に決定したデザインを見たときに、『この写真が使われたんだ!』と知ることになります。

(第2回へ続く)