今シーズン、チャンスに強い打撃で存在感を見せている末包昇大。名門・大阪ガス時代は4番を務め、プロ1年目は梵英心以来の『新人開幕先発出場』も果たした。広島の大砲としてさらなる飛躍が期待される背番号52が語る、『4番』への思いとはー。(全3回/第3回:取材は5月)

シーズン序盤からチャンスに強い打撃を見せる末包

入団してから『競争意識』はずっとある

─昨季、チームは得点力不足が課題とされました。その中で末包選手は長打も期待されますが、意識はいかがですか?

 「昨年のほうがホームランへのこだわりは強かったかもしれないですね。昨季は故障もあったりして出場試合数が少なかったので、その中でアピールするとなると、ホームランだったり長打を求めていたのかなと思います。今年に関しては4月の頭から試合に出られているので、あまり長打を自分で求めすぎると、悪い方向に行ってしまいそうだと感じています。自分のなかでは、ホームランを狙わなくても当たれば飛ぶという意識もあるので、長打を強く意識していないところもあります」

─今季はファビアン選手など新たに外国人選手が加入するなど、ポジション争いも注目されています。

 「競争意識というのは、昨年もそうですし、入団したときからずっとありますね。今年も外野は秋山(翔吾)さん、ファビアン、年下の選手も含めて競争があります。毎年競争をするなかで、自分には長打力という特長がありますが、そこを他の選手と比べても、自分が結果を残さないことには使ってもらえないと思います。やっぱり自分が活躍してなんぼだと思うので、他選手のことはあまり気にせず、自分がしっかりやって、後は起用してもらえたら……という意識です」

─序盤から4番を打つ機会が多くあります。打順への意識を聞かせてください。

 「今のところは正直、打順に対しての意識はありませんね。故障している選手もいますし、全員がそろっているわけではないので、その中で任せられた打順で頑張りたいという気持ちです。故障者も含めて全員がそろったときに『使っておきたいな』と思われる選手になりたいですね」

─『4番打者』に対して、どのようなイメージを持っていますか?

 「昨シーズンは正直、4番という打順が重いなと思うシーズンでした。もちろんシーズンが終わって『来年(2025年)は4番で1年間戦いたいな』と思っていました。やはり4番が打たないと勝てないですし、そこに対する昨シーズンの責任というものを感じていたので、4番を打ちたい気持ちがありました。ですが、先ほども言ったようにまだ全員揃っていないので。とはいえ、4番は打順の中で中軸ですし、チャンスが回ってくることも多いので、しっかりと責任を果たしたいです。ただ、新井(貴浩)監督が仰るように、今は『4番目』だと思っています。ですが、最終的には4番は奪い取りたい場所です」

─現時点で末包選手が目指している打撃・打者を聞かせてください。

 「巨人の(岡本)和真のような存在になりたいですし、(鈴木)誠也さん(カブス)みたいに、チームがしんどいなかでもしっかり成績を残して、チームを奮い立たせる、勝負強さをもった、2人のような圧倒的なバッターになりたいですね」

─今季、数字的な目標はありますか?

 「数字の目標はあまりないですが、まずは1年間通じて試合に出たいです。今季は4月初めから出させていただいていますが、ルーキー以来(2021年)です。自分としてはようやくプロに慣れてきた中で初めての感覚ですし、他球団の選手とも勝負できている感覚が楽しいですね。打率、ホームラン、打点だったり、そういう数字って試合に出ていないと相手に敵わないので、やっぱりシーズン最初から出られるというのは良いことだなと感じています。他球団の選手が打ったら、対抗心も出てきますし、そういうことも含めて今は楽しいですし、良いモチベーションで毎日を迎えられています」

─今後の抱負を聞かせてください。

 「まずはケガなく、シーズン1年間、一軍の戦力になるというのが、一番の目標でもあります。故障することなくしっかりと戦って、昨年の悔しさというものを今シーズンは晴らしたいと思っています」

末包昇大(すえかね・しょうた)
1996年5月27日生・28歳(プロ4年目)/香川県出身
右投右打/188cm・107kg
高松商高−東洋大−大阪ガス−広島(2021年ドラフト6位)