173センチとプロ野球選手にしては小柄な体格ながら、プロ2年目の田中法彦がウエスタン・リーグで日毎に進化を続けている。

今季の課題は真っすぐの質。シュート回転を改善することで、田中法彦投手が二軍で存在感を示している。

  ルーキーイヤーの2019年は、三軍で体づくりに専念しながらも、二軍公式戦4試合に登板。1年目は体力づくりに終始する若手投手が多い中、貴重な実戦を経験した。

 「昨季はゲームで投げさせてもらっても、真っすぐが乗らなかったり、変化球が良くなかったんですが、今年は真っすぐで勝負できますし、勝負できる変化球が増えてきています」

 左肩が突っ込む癖を修正することで、これまでシュート回転していた直球の質が大きく向上した。

 そんな田中が現在任されているのは、二軍ながら“ストッパー”という大役。試合を締める重圧がかかるポジションだが、「そこまで気負いはありません」と頼もしい言葉を口にする。

 事実12試合の登板で7セーブ、防御率1.35の数字を残すなど、ストッパーとしても、そして2年目の右腕としては十分すぎる結果を出している(数字はすべて8月17日現在)。

 「今は短いイニングを任されているので、1イニングで自分の全力を出しきるイメージでいつもマウンドに上がっています」

 これまで持ち球であるカーブ、スライダー、チェンジアップに加え、今季初頭からカットボール、自粛期間中から新たにスプリットを習得することで、格段に投球の幅も広がった。その結果はマウンド上にも現れ、これまで13.1回を投げ15奪三振と、空振りが取れるストッパーとして自らの価値を高めている。

 「近年カープではアドゥワ(誠)さんや、遠藤(淳志)さんなど、2年目の投手が活躍しています。その波に乗って自分も今季こそ一軍で登板したいと思っています」

 今季のカープの課題がリリーフ陣の再構築にあることは言うまでもない。世代交代の気配が漂う今季のカープ投手陣において、期待の若鯉が虎視眈々と一軍の舞台に照準を絞っている。