今シーズンの折り返しが目前に迫るなか、カープが厳しい戦いを強いられている。8月19日の時点で借金6を背負い、順位は首位・巨人から9ゲーム差をつけられての最下位。ペナントレースをより厳しいものとしている要因の一つが、本拠地・マツダスタジアムでの星の取りこぼしだ。

3連覇中には多くのカープファンからの声援を後押しに戦っていたカープ。本拠地・マツダスタジアムでは驚異の勝率を誇っていた。

 近年はホームゲームで貯金を積み上げることで安定した成績を残してきたが、今季は現時点で6勝12敗3分。チームが背負う借金数が、偶然にもマツダスタジアムでの借金数と同数なのだ。

 ここ数年を振り返ればシーズン通してホームゲームで負け越したのは、球団史上初のクライマックス・シリーズ進出を果たした2013年まで遡らなければならない。

 2013年以降、昨シーズンまでのホーム勝敗は、以下の通りだ。

2019年 4位<ホーム/39勝32敗1分>
2018年 1位<ホーム/45勝25敗2分>
2017年 1位<ホーム/50勝20敗1分>
2016年 1位<ホーム/51勝20敗1分>
2015年 4位<ホーム/37勝32敗2分>
2014年 3位<ホーム/42勝29敗1分>
2013年 3位<ホーム/34勝37敗1分>

 黒田博樹、新井貴浩が復帰し、優勝への機運が一気に高まった2015年以降、年間入場者数が200万人を突破するなど、マツダスタジアムのチケットはプラチナ化の一途をたどった。連日マツダスタジアム内は真っ赤に染まり、カープ選手たちに有形無形のパワーを注入し、相手チームにはその声援が大きなプレッシャーとなっていたに違いない。地元での勝率の高さが、近年の好成績を支えていたといっても過言ではない。

 それは数字にも如実に現れており、リーグ3連覇を果たした2016年からの3年間はホームゲームで大幅に貯金を上積みしている。2016年の貯金31に始まり、2017年は貯金30。2018年はやや数字を落としたとはいえ、本拠地で貯金20の積み上げに成功した。マツダスタジアムがオープンした2009年からの5年間で勝ち越しが一度だけ(2012年の33勝32敗)ということを考えれば、3連覇中の数字がいかに突出したものであるかが分かるだろう。

 ところが昨シーズンは最終的にホームゲームで勝ち越したとはいえ、3連覇中のマツダスタジアムでの勝率にやや陰りが見え始めている。振り返れば、巨人との開幕カード負け越しが響き、直後の中日戦で敗れ2015年6月24日以来、1378日ぶりに最下位に転落。4月7日には阪神に零封され、2015年9月25日以来となる本拠地での完封負けを喫している。

 4月11日にはヤクルトに敗れ、2015年6月2日~4日以来となる本拠地同一カード3連敗を記録。その後も交流戦で状態を大きく崩し、リーグ戦をまたぐ形でホーム6連敗を経験。結果的に4年ぶりのBクラスに転落してしまった。

 ホームの勝率とシーズンの成績が完全にリンクするわけではない。しかしながら、マツダスタジアムでの勝率の高さがカープの強さを後押ししていたに違いない。序盤から苦戦を強いられ、下位に低迷するカープが浮上のきっかけをつかむには、まずは地元・マツダスタジアムでの勝率を上げていきたいところだ。