2025シーズン、東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会。田中聡はプロ6年目にして、自身初の日本代表入りをつかんだ。湘南から広島に完全移籍で加入すると、開幕直後から存在感を発揮。故障による一時離脱を経て再びチームに合流したMFが、海外移籍の経験と、ここからの目標を語った。(全3回/第3回)

東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会韓国第2節で、代表デビューを果たした田中聡

◆課題はメンタル面。海外には将来もう一度挑戦したい

—2021年8月、ベルギーリーグ1部のコルトレイクに期限付き移籍しました。

 「海外に行きたいという思いは昔からありました。オファーが来たときは湘南が降格圏にいたので、かなり迷いましたが、チャレンジしたいという思いで決断しました」

—ベルギーでは1シーズンプレーし、2022年6月に湘南に復帰しています。

 「移籍した当初は試合に出ていて、自分の間合いであればボールを奪うこともできていましたが、徐々に試合に出られなくなってくると、自分の良さを見失ってしまったような感覚でした。持ち味を出せず、『もっとできるはずなのに』と思いながらプレーしていて、今でももったいなかったと思っています。力を出せないことも含めて実力不足だったので、将来もう1回チャレンジしたいという思いはありますね」

—どんな環境でも自分の力を100パーセント出すことの難しさを感じましたか。

 「課題として一番強く感じたのは、メンタル面です。調子が良いときの自分は何も考えず、無心でプレーしています。もちろん、考えながらプレーするのも大事なことなので、今はいろいろ試行錯誤をしているところです」

—今季はまた新たなチャレンジとして、広島に移籍を決断しました。今後タイトル獲得に貢献するために、どんなことが求められると考えていますか。

 「ゴールに向かっていくプレーを増やして、得点やアシストなどで結果を残すことです。チーム全体の得点も少ないので、最後のクロスやシュートの質を上げていく必要があります」

—エディオンピースウイング広島では、ACL2で得点も決めました。新しいホームスタジアムの印象はどうですか。

 「湘南の選手として来た昨年もすごく良いスタジアムだと思っていて、完全に雰囲気にのまれてしまい、試合でも負けてしまいました。アウェイの遠征でいろいろなところに行きましたが、一番すごいスタジアムです。昨年は広島のファン・サポーターの声援で圧力を感じましたが、味方になると心強くて、頼もしいですね。ウォーミングアップ中も声が聞こえるので鳥肌が立ちますし、モチベーションも上がります。ロッカールームもホームは広島仕様になっていてアウェイとは全く違うので、ホームとしてプレーできることはありがたいと感じています」

—リーグ戦も折り返し地点を迎え、これから暑い時期を迎えます。近年の夏は猛暑で、フォーメーションの中盤で運動量を要求される田中選手にとっては、厳しい戦いとなりそうです。

 「夏は得意でも苦手でもないのですが、たぶん体重が落ちてくると思います。しっかり食事を摂って、体をケアして、たくさん寝ることを怠らずにやっていきたいです」

—最後に、ファン・サポーターのみなさんへのメッセージをお願いします。

 「これからも試合は続きます。タイトル獲得のためにチーム一丸となって戦うので、これからも応援よろしくお願いします!」

■田中聡(たなか・さとし)
2002年8月13日生 (22歳)、長野県出身
ポジション・MF
AC長野U-15ー湘南U-18ー湘南ーKVコルトレイク(期限付き移籍)ー湘南ー広島
湘南の下部組織からトップチーム昇格。世代別日本代表に複数回招集されるなど、当時からその実力には大きな注目が集まっていた。2022-2023にはベルギー1部に所属し15試合に出場 (0得点)。翌年湘南に復帰。2025シーズンから広島に完全移籍。