カープ球団を支える人たちは、どんな仕事をしているのか?本連載は、さまざまな立場・場所からチームを支える人たちにスポットライトを当て、裏側のお仕事について探っていく。
今回は、今年デビュー30周年を迎えるカープの人気マスコット・スラィリーを支える、試合運営部の仮屋尊春(かりや・たかはる)さんが登場。『スラィリー担当』とは一体どんな仕事なのか・・その全貌や、仕事のやりがいについて話を聞いた。(全2回/第1回)
◆スラィリーのお手伝い、おでかけ準備・・多岐にわたる「スラィリー担当」のお仕事
2023年に広島東洋カープに入社し、今年で3年目となります。小さい頃からプロ野球を見ていて、何度も球場に足を運び、いつか野球に関わる仕事をしたいと思っていました。
その後学生時代のコロナ禍をきっかけに、『自分のやりたいことは何なのか?』と考え、専攻にとらわれず、幼い頃から好きだったプロ野球の世界を目指す決断をして、ご縁があってカープ球団に入社することができました。
私は試合運営部に在籍しており、「スラィリー担当」をしています。基本的な業務としては、スラィリーと黒子のお手伝い、おでかけ準備、出演を希望される方とのスケジュール調整などです。入社当初から「スラィリー担当」として業務していますが、最初は仕事に慣れること、先輩についていくことで必死だったと記憶しています。
日頃の仕事内容は、試合日はスラィリーと一緒に行動していて、試合前、試合中、5回に行われるCCダンスや、ラッキーセブンなどスラィリーとアシスタントの黒子のサポートをしています。また、試合日以外では、地域のイベントにも一緒にお邪魔して、スラィリーやイベンターさんのサポートも行っています。
スラィリーと一緒に過ごしていると、スラィリーは本当に多くのファンの方から声をかけていただけていると実感します。もちろんマツダ スタジアムでもその人気は感じますが、ありがたいことにビジターなど遠征先に行ってもスラィリーに声をかけてくださる方がたくさんいらっしゃるので、『広島以外でもカープファンのみなさんの熱気がすごいな』といつも感じています。
また、選手たちもスラィリーと仲良くしてくれるので、スラィリーもとても喜んでいます。今シーズンで言うと、ファビアン選手、また新井監督もスラィリーを気にかけてくださっているようで、試合前のメンバー表交換のハイタッチや、勝利した際には、“1番最初にハイタッチに行くのは新井監督”と、スラィリーの中でルーティンにしているらしいです。
そしてファンのみなさんに注目してほしいのは、スラィリーが持っている小道具です。
鯉のぼりはもちろん、バズーカやもみじ饅頭、栗林良吏投手が最終回に登板する際の赤いラッパなどです。スラィリーが「こんなものを持ちたい」と黒子と話していて、それをつくっている場面を見ます。基本は黒子とスラィリーでつくっていますが、たまに手伝ったりもしています。ぜひ、新しい小道具が増えるかもご注目ください!
いつも振り回されてばかりではありますが、スラィリーから学ぶこともたくさんあります。みなさんご存知の通り、スラィリーの趣味・特技は『いたずら』です。なので、スラィリーが何を考えているかがわからないこともあるのですが……、試合前にスラィリーは「こういう遊びをしたい」と、黒子と一緒に考えたりして、来場者の方に楽しんで帰ってほしいという思いを常に持ち続けているようです。その様子を見ながら私も「こんなことをしてみたら?」と提案させてもらうこともあります。ですが、基本的に私はスラィリーの行動が危なくないか? など、見守るポジションにいるようにしています。
(後編へ続く)