交流戦後、苦戦を強いられた新井カープ。球宴を経ていよいよ勝負の8月に突入する。昨シーズンは優勝目前の9月に失速。優勝、CSをも逃すという苦い経験をした。後半戦は優勝争いに絡み、CSに向けて負けられない戦いが続く。カープのレジェンドOB・大野豊氏が、チーム浮上に向けた展望を語る。(データは全て7月14日時点)
◆序盤の失点を巻き返せず、苦しむ展開が増えている
7月の試合を振り返ってみると、先発投手陣に疲れが出ているのか、序盤の初回、2回と非常に早い段階から失点するケースが増えているように感じます。そうなってしまうと、常に相手を追いかけなければならない展開となっています。さらに打撃陣も得点力に苦戦しているだけに、苦しい戦いとなり、負けが混んでいる印象です。
まずは、先発投手陣が踏ん張ることが大事になります。初回の立ち上がりで、先発がしっかりと結果を残し、試合の流れをつかむことが重要です。勝ち負けももちろん大切ですが、まずは試合をつくること、そして長いイニングを投げることも大切です。繰り返しになりますが、先発が好投して、『チームに良い流れを呼び込む』こと。先発投手としての役割をしっかりと果たして欲しいというのが正直な思いです。
今年はあっという間に梅雨が明け、厳しい暑さが続いています。選手たちは疲れのほかに暑さの影響も受けているとは思います。しかしながら他のチームも条件は同じです。メンタルの部分で暑さをどう乗り切れるか。暑さにどう対応するか、どう準備するかということも大事でしょう。
私が現役時代は体のキレを保つために、あえて練習にショートダッシュなど、下半身を鍛えるメニューを取り入れるようにしていました。もちろん、当時と今とでは暑さの度合いも全く違いますから一概には言えませんが、短時間であってもそうしたトレーニングを取り入れることは必要かもしれません。特に投手は、体のキレがなければフォームに乱れも出ますし、球に勢いも伝わりづらくなります。暑い時こそあえて体を動かすことで、「このくらいの暑さで、この程度動いたら、自分の体やピッチングはこんな風になるんだ」と感覚をつかむこともできます。暑い中でどう体を使うべきかを実践して体感することで、「では、どうするか」という解消法を考えることもできるようになるでしょう。ここからは、準備の段階でいかに暑さという条件に順応することができるかも大切になってくると思います。
球には思った以上に自分の考え方や状態が伝わってしまうものです。暑さという条件はどのチームも同じですし、野手も厳しい環境が続きますが、なかでもマウンドに立つ投手は自己コントロールにも気をつけて、「自分の力が十分出せない」とならないように頑張ってもらいたいです。
(後編へ続く)