甲南大初のプロ野球選手として、ドラフト3位でカープに入団した岡本。春季キャンプ一軍スタート、開幕一軍入り、開幕戦でプロ初登板も果たした。必死でルーキーイヤーを過ごす背番号53の素顔に迫る。(取材日:7月上旬)
◆球速がアップしたストレート。手応えを感じる毎日
ーここまで一軍で中継ぎとして登板機会を増やしていますが(取材は7月上旬)プロ入り後の手応えはいかがですか?
「投げる機会をいただいて手応えを感じる登板も増えてはいますが、力が足りないということも実感しています。まだまだ勉強していくことはたくさんありますね」
ー具体的に手応えを感じた部分があれば教えてください。
「あまりストレートに自信がなかったのですが、球速150キロが出るようになって、ストレートでファウルを取れることが多くなりました。ここ何試合かで少しずつですが手応えを感じるようになりました」
ールーキーながらも、緊迫した場面での登板機会も増えています。どのような気持ちでマウンドに上がっていますか?
「とにかく『3人で抑えて帰ってくる』ということだけを考えています」
ー登板前のルーティンなどがあれば教えてください。
「左足で一塁のラインを跨いで入ることです。前はもう少しルーティンがあったのですが、プロは試合数も多いですし、先輩方から、『ルーティンをつくりすぎると、できなかったときに余計なことを考えてしまうから、なるべくなくしていったほうが良いぞ』というアドバイスをいただいたので、いまは最小限にするように考えています」
ー一軍登板のなかで印象に残っている試合や対戦相手がいれば教えてください。
「開幕戦の阪神戦はすごく印象に残っています。9回にプロ初登板で、1人目の打者が木浪(聖也)さんでした。ショートライナーをファインプレーでアウトにしてもらったことをすごく覚えています」
ー特に意識して取り組んでいることは何ですか?
「最近は筋力強化や、メンタル面を意識していて、気合の入れ方などを意識して取り組んでいます。栗林(良吏)さんや、島内(颯太郎)さんからも『強気でいかないとマウンドでは抑えられない』とアドバイスをいただきました。前まではあまり考えることはなかったのですが、浮き沈みに影響されないように、最近は『絶対抑える』という強い気持ちを持って上がるようにしています」
ールーキーインタビューということで、岡本投手のこれまでについてをお聞きします。少年時代はどんな子どもでしたか?
「僕自身は、ずっと外で遊んでいるような子でした。4つ上の兄がサッカーをしていたので、小学校1年の時から僕もサッカーをしていました」
ーいつから野球を始めたのですか?
「小学2年のときに、少年野球チームに入っていた地元の先輩から、4年生以下の大会に出場するのに『人数が足りないので参加してくれ』と誘ってもらったのがきっかけでした。そこから小学校を卒業するまでやりました。中学に進学するにあたって、クラブチームの体験にも行かせてもらったのですが、あまり僕には合いそうになかったので、中学校の部活動で頑張ろうと決めて3年間プレーしましたね」
ーその後、城南高へ進学されました。
「高校進学するにあたり、勉強もしっかりしたいという思いがありました。文武両道できるのが城南高だと思い、スポーツ推薦で進学しました」
ー高校時代にプロ志望の思いはあったのでしょうか?
「もちろん大きな夢としては、プロに行きたいという思いを持っていました」
ー大学進学については、甲南大野球部監督の谷口純司監督から声をかけられたというお話を、ドラフト会議後の取材(2024年12月号掲載)でお聞きしました。大学時代、具体的にプロを意識し始めたのはいつ頃ですか?
「大学3年の1月頃にプロのスカウトの方が試合を見に来られていて、そこから意識し始めました。これは後から聞いた話なのですが、僕が1年の頃、関西学院大の黒原(拓未)さんの試合をスカウトの鞘師(智也)さんが見に来られていたそうなのですが、そのときに投げ合ったのが僕でした。『甲南大にこんな投手がいるんだ』と目をつけてくださっていたそうです」
(後編へ続く)