6月に開幕したプロ野球は各チームともに60試合前後を戦い、レギュラーシーズンの約半分を消化した。佐々岡真司監督の下、V奪還を目指すカープは序盤から苦しい戦いを強いられ、下位に低迷している。

 投手陣に目を向けると、ドラフト1位ルーキーの森下暢仁ら若手投手陣が活躍を見せる一方で、3連覇を支えてきた投手らの不振が目立っており、チーム防御率はリーグワーストの4.82と苦しんでいる。なぜカープ投手陣は開幕から不振に陥ったのか? 今回はカープOBの大野豊氏に序盤のカープ先発投手陣の誤算について語ってもらった。

8月26日現在、開幕から8試合に先発するも未だ勝ち星のないK.ジョンソン投手

◆捕手との相性よりも、まず球の精度を上げること

 今季の開幕ローテーションは大瀬良大地、K.ジョンソン、九里亜蓮、森下暢仁、床田寛樹、遠藤淳志の布陣でスタートしました。しかしここまでほとんどの投手が何かしらのアクシデントで登板を回避するなど、早速苦しい戦いを強いられることとなりました。

 なかでも最大の誤算は左腕のエースでもあるK.ジョンソンが全く勝てていないことでしょう。もともと立ち上がりを課題にしていた投手ではありますが、今季は特にその傾向が顕著です。もちろんバッテリーを組む相手がこれまでの石原慶幸から會澤翼に変わったということが多少影響しているのかもしれませんが、そこはチーム事情もあるだけに割り切って投げなければなりません。少なくとも開幕当初のK・ジョンソンに関しては捕手との相性うんぬんよりも、まず球の精度を上げなければどうにもならない状態だったように思います。

 そしてもう一つの誤算は昨季先発として結果を残した床田の不調です。昨季が初めて1年間通して一軍で戦ったシーズンだっただけに、疲労が残り多少は苦労するだろうと思ってはいましたが、まさかここまでとは予想しませんでした。

 私も経験がありますが、投手は結果を残すことで、翌年はそれ以上の数字を残さなければならないというプレッシャーに襲われます。するとそれまで打者に向かっていく気持ち、攻めていた気持ちが徐々になくなり、打たれてしまった時の気持ちや、『これをしてはいけない』というようなネガティブな気持ちでいっぱいになってくるのです。一度このドツボにハマってしまうと、自分では攻めているつもりでも、単純な棒球を投げてしまい、どんどん打ち込まれる悪循環に入ってくるものなのです。

 おそらく現在の床田もそういった状態に近いと思われます。二軍降格となりましたが、一度頭の中を整理した上で、昨季自分が結果を残せた要因や、自分の長所を考えた上で、再び一軍のマウンドへと戻ってきてほしいと思います。