支配下登録2年目の昨季、一軍で80試合出場と地道に成果を重ねてきた二俣翔一。入団時から強い気持ちを持ち続け、一軍でレギュラーを争う立場にまで這い上がってきた。今季は初の開幕スタメンを果たしチャンスをつかみかけたものの、ここまで苦戦が続いている。波乱の今シーズン、そして育成時代に抱いていた思いに迫った。(全2回/第1回)
◆根性でアクシデントを乗り越えるも、手応えを感じていた打撃で苦戦
─今季は開幕前からアピールに成功し、開幕スタメン、直後のアクシデントなどさまざまな事を経験されています。
「今年はキャンプ、オープン戦から打撃面で手応えがあって、開幕戦にもスタメンで出していただいた中で『今年こそは』という強い思いがありました。ですが、自打球を顔面に受けて(4月2日・ヤクルト戦)歯を8本損傷してから、歯を食いしばることができず、力の入り方も含めて打撃の感覚がおかしくなってしまって……。それでもプレーはできていたので複雑な気持ちというか、悔しさだけですね」
─手応えをつかんでいた打撃で苦戦されたのですね。
「歯を損傷してから、体のバランスというか、つま先体重であったのが、スイングした際にかかと体重になってしまっていたり、気持ち悪さというのがありました」
─ただ、自打球を受けてしまったアクシデントの翌日から強行出場したことが、大きな話題となりました。
「自分としては開幕戦からスタメンで使ってもらって『このケガで離脱するわけにはいかない』という気持ちだけでしたし、とにかく必死でした。すぐに病院に行きましたが、手とか足のケガではないのでプレーはできると思っていたんです。新井(貴浩)監督に聞かれたときに『出たいです』と直訴させていただきました」
─その後、5月に二軍落ちとなりました。どのような心境でしたか?
「一軍でもなかなか試合に出られなくなっていたので、もう一度一軍でプレーしたいという気持ちだけでした。あと、体のバランスを考えたトレーニングを重点的にやりました。そこから少しずつ良くなっていったと思います」
─打撃面についてはどんな取り組みをされたのですか?
「打撃に関しては、一番の課題なのでいろいろ試しました。春先から続けてきたバッティングフォームで結果が残せなかったので、二軍では(中村)奨成さんのようにバットを担ぐスタイルを試してみたりしました。その中で、やっぱり春先の打撃フォームがしっくりとくるなという感覚でした。ですので、一軍に復帰してからコーチに相談した上で、春先の打撃フォームに戻して、少しだけアレンジを加えたりしています」
─7月に一軍に戻ってきてから、プレーした感覚はいかがですか?
「二軍では、改めて自分の動きを考えながらやってきていたので、自分の打席が終わった後にしっかり確認作業をして、その繰り返しを大事にしています。一軍に戻ってきてからスタメン機会は少ないのですが、昨年も守備固めから途中出場が多かったので、常に試合の流れを見ながら、良い準備をしていたいと思います」
(後編へ続く)