サンフレッチェ広島復帰以来、多くのサポーターから愛されている背番号51は、今シーズン、苦しみながらも献身的にチームを支え続けている。 「もどかしかった」と語るシーズン前半、そして激しいタイトル争いを繰り広げたチームの今を、ストライカー・加藤陸次樹が語る。(全2回/第1回)

今シーズンはここまでリーグ・カップ合わせて5得点をあげている

悩みやもどかしさを抱えながら、新たな挑戦の年にもなっている

ーまずは今シーズンここまでの、加藤選手自身の手応えを聞かせてください。

 「個人的なサッカーキャリアとしては、今年に関してはあまり結果が出ていないと感じています。コンディションを含めて、なかなかうまくいっていないのが正直なところです。レギュラーで試合に出ることのできない時期もありましたし、もどかしいというか、耐える期間でした。ただその分、新たな挑戦をしているシーズンでもあるのかなと思っています。他のチームに比べると試合数も幸せなくらいたくさんあるので、そこは非常に良いことだと受け止めていますが、自分のプレーや成績に関しては、まだまだ物足りなさを感じますね」

ー『もどかしさもあった』ということですが、今シーズンは初ゴールが5月3日と少し時間もかかりました。要因は何だと捉えていますか。

 「ひとつ挙げるとするなら、昨季からサッカーのスタイルも少し変わって、自分の持ち味や良さの出し方に悩んでいるというのはありますね。どうやって自分が活躍すれば良いのか、点を取れるのかということは、すごく悩んでいます。ただそれは僕自身の問題であって、毎年毎年、サッカーやチームは自然と変化していくものです。そこに対して僕がどういう動きをすれば良いのか、どうコミュニケーションを取れば良いのか。自分のなかでうまくいっていないことが今の一番の問題なのではないかと思っています」

ー今シーズンは前線の選手の顔ぶれも大きく変わりました。そのあたりも影響しているのでしょうか。

 「そうですね。ひとつは、より良い選手が加入してくれたことで、これまでと自分の役割が変わってきたというのもあると思います。良い選手が増えるなかで僕が何ができるかという部分では、これまで以上に攻撃のアクションを求められていますし、そこに対して昨シーズンと同じようにプレーしているのでは、どうしてもうまくいかない、物足りないというのもわかっていました。その点で少し、自分の癖が抜けていないというか、今のチームに影響を与えるプレーができていないのかなと感じています」

ーそのなかで、加藤選手が他の選手に負けない、ご自身のストロングだと思う部分はどこですか。

 「オフザボールですね。僕は足元も得意だと思っていますし、パスも今いる選手よりはできるという自信があります。ただ、何より一番はオフザボールで裏抜けだったり、前線から中盤に下がってボールを受けて攻撃につなげる、いわゆる『落ちてくる起点』になるところでは誰にも負けない自信があるので、それがゴールに直結すればなお良いのかなと思っています」

ーワントップにジャーメイン良選手や木下康介選手、ジェルマン選手が入り、加藤選手はシャドーでのスタートが多くなっています。ポジションによってプレーのしやすさや難しさも変わってきますか。

 「そこに関してはやりにくさはあまり感じていません。もちろん、試合や対戦相手によっては感じることもありますが、ワントップだから難しい、であったり、シャドーだからやりづらいということは全くありませんね」

(後編へ続く)