高卒新人ながら、二軍で多くの試合に出場し貴重な経験を積んだ韮澤雄也。開幕当初こそ高校野球とプロ野球の圧倒的なレベルの差に跳ね返されたが、地道なトレーニングの反復で終盤戦は堂々と投手たちと渡り合っていた。

今季はウエスタン・リーグで林晃汰選手に次ぐ68試合に出場した韮澤雄也選手。

「一番戸惑ったのは、木製バットですね。金属とは感触が全く違って最初は全然飛びませんでした。また変化球への対応も最初は苦労しました。まずは自分のスイングができるようにということを意識していました」

 ときには他球団の好打者のスイングを参考にしながら徐々にプロの投手への対応力を身に着けてきた。

「ソフトバンクの上林誠知さんや、長谷川勇也さんとか良い打者は自分のスイングを崩さないんです。自分はどうしても当てにいく癖があるのでそこを直したいです」

 現在行われているフェニックス・リーグでコンスタントに安打を放ち、11月18日の楽天戦では3安打の固め打ち。貴重な実戦の場で、プロ1年目で見えた課題の克服に務めている。また打撃面だけではなく、二塁手というセンターラインを任されている以上、守備面への意識も常に高く持ち続けている。

「僕の中でどちらかといえば今は打撃よりも守備を大切にしています。プロに入って初めて本格的に二塁手を守らせてもらいましたが、自分の中でも成長を感じています。だんだんと周りも見えてきて、指示もできるようになってきました」

 すでに一軍経験のある小園海斗や羽月隆太郎など、次世代の二遊間をめぐる戦いは熾烈さを極めるが、長所を突き詰めてチャンスをつかみとっていく。

 「自分のウリは堅実性。そこを高めてもっと結果を出していきたいです」

 攻守共に成長を続けている背番号54は、プロ2年目の飛躍を目指して、すでに走り出している。