異国で奮闘する選手を支える重要なポジションにひとつに『通訳』がある。選手とチーム、監督、スタッフをつなぐだけでなく、外国人選手の日本での生活のサポートも仕事のひとつだ。

 黒子役と思われがちな通訳だが、カープの場合は一味違う。クリス・ジョンソンを支え『キミさん』の愛称で知られた西村公良通訳、ドミニカ選手の通訳として現在も活躍し、ファンから『クーちゃん』と呼ばれ愛されたクレート通訳……昨シーズンであれば、ファビアン、モンテロの通訳として活躍したファン・フェリシアーノ氏が記憶に新しい。

 そんなフェリシアーノ通訳は、現役時代はカープで投手として登板した経験も持つ。ドミニカン選手から『パパのよう』と慕われるフェリシアーノ氏に、通訳という仕事のやりがいを聞いた昨年のインタビューを改めて振り返る。(『広島アスリートマガジン』2025年7月号掲載記事を再編集)

ファビアン、モンテロと笑顔でスリーショット

チャンスをもらえた喜び。球団やチームに貢献し続けたい

 私は2002年にカープの練習生として初めて来日し、2004年に支配下登録されてから3年間カープでプレーをしました。その後は、イスラエル、メキシカンリーグ、ウィンターリーグ等でプレーを続けていましたが、膝のケガをきっかけに現役を引退しました。引退直後の2011年に、カープアカデミーのヘッドコーチとして声をかけてもらってから、ずっとカープにお世話になっています。

 現在の仕事は2つあります。1つはドミニカ出身選手たちの通訳として、グラウンドでのサポートはもちろん、普段の生活サポート。2つ目はカープアカデミーのヘッドコーチとして若い選手に指導をしています。通訳になったきっかけは、カープアカデミーで日本語を話せる人がクレートしかいなかったことです。私は日本でのプレー経験があり、少しだけ日本語を話すことができて、日本の文化も知っているということで、2019年から日本での通訳人生が始まりました。

 2025年シーズンは、ファビアンやモンテロの活躍もあり、ヒーローインタビューに選ばれる機会が増えました。ただ、私が一番得意とするのは、ベンチの中でのコミュニケーションです。なので……カープファンのみなさんの前で、話すことは緊張するので少し苦手です(笑)。

 例えば、日本語からスペイン語には、綺麗に表現して伝えられるのですが、スペイン語から綺麗な日本語に直して、選手の気持ちを伝えることはすごく難しいです。また、日本に方言があるように、ドミニカ人のスペイン語にもいろんな方言があります。ヒーローインタビューは、時間がないので慌てて訳してしまうと、ファンのみなさんが笑っているので、『変なことを言ったかな? 大丈夫かな?』と心配になることもあります(苦笑)。

 ですが、ファンのみなさんに喜んでいただけているようですし、私にとっても楽しみにしている場所です。ちなみに、Tシャツになったモンテロの「サイコーデス!」は、『モンテロ本人が“最高です!”と言った方が盛り上がるから、言ってみて』と伝え、言ってもらいました。すごく盛り上がっていてうれしかったですね。

 私にとってカープ球団はとても特別な存在です。私はずっと長くドミニカ選手と球団をつなぐ関係でいたいですし、これからもずっと貢献したいと思っています。

■ファン・フェリシアーノ
1980年4月6日生まれ、ドミニカ共和国出身。ボストンレッドソックスアカデミー、カープアカデミーを経て、2002年にカープ練習生としてカープ入団。2004年に支配下登録されて3年間プレー。その後、イスラエル、メキシカンリーグなどを経て、2011年からカープアカデミーのヘッドコーチに就任。2019年からは通訳としてもドミニカ選手をサポートしている。

カープをより深く、より熱く。日本唯一の広島東洋カープ専門誌!
2026年3月下旬創刊決定!
ただいま新規定期購読 受付中!

【新雑誌 詳細はこちら】