2025年シーズン、一軍昇格がつかめず苦戦する若手投手たちが教えを仰いだのが、三軍コーチ兼アナリスト(当時。2026年シーズンから二軍投手コーチ)の野村祐輔だ。カープ一筋に腕を振り続けた現役時代は、通算80勝64敗。右のエースとして球団史上初の三連覇にも貢献した。

 ここでは、最多勝利と最高勝率の二冠に輝いた2016年シーズンを振り返った野村の独占インタビューを再編集してお届けする。当時のエース・前田健太のメジャー移籍から始まった2016年シーズンは、野村にとって転機となるシーズンでもあった。

大野練習場で選手の練習を見守る野村コーチ(写真は2025年)

◆アドバイスを受け、気持ちの切り替えがうまくいくように

— 2016年までのエース・前田健太投手(現ドジャース)が抜けるという状況で今季プロ5年目を迎えた訳ですが、野村投手個人的にはどのような想いだったのでしょうか?

「『行ってしまうんだ……』という思いはありましたが、それでもチームとしてやっていかなければならないですからね。ですが『マエケン(前田健太)さんが抜けたから、やってやろう!』という気持ちは、正直ありませんでした。昨季、僕が胸を張れる成績を残していたならば『マエケンさんが抜けた後は、自分が先頭に立ってやってやろう』という気持ちになったかもしれません。でも昨季、僕は成績が残せなかった訳ですから、また新しい形、新しい自分をつくり上げていかなければならないという思いでシーズンに臨みました。もちろんマエケンさんのこともありますけど、過去2年間、チームに貢献できていない状態だったので、“まずは自分のことを”という気持ちが強かったですね」

— 開幕から順調に勝ち星を重ねられてきましたが、今季の投球のなかで、どの部分が一番良いと自己分析されますか?

「これまでの課題だったのですが、試合中の気持ちの切り替えが上手くできたという部分が一番大きいと思います。登板まで普段のルーティンを変えたことはありませんが、試合中ピンチの場面でも意識して気持ちを切り替えられるようにマウンドで時間を空けたりしていました」

— それは誰かにアドバイスされて試みたことなのですか?

「黒田(博樹)さんの投球をずっと見ていて、『この場面ではじっくり間を空けているな』とか『こういうところで気持ちを切り替えているのかな』など、仕草や動きを見させていただいているなかで想像しながら試してきました。黒田さんから直接アドバイスを受けた訳ではありませんが、黒田さんだけではなく、ジョンソンであったり他の投手の動きも見て、自分が感じたことを試してきました」

— (2016年)5月25日から7月22日までは、自身の連勝記録となる8連勝もありました。連勝できた要因はどこにあると思いますか?

「ずっと打線が点を取ってくれていましたし、そういう状況のなかで自分も崩れることなく、しっかりとした投球をしてゲームをつくることができた結果だと思います。なるべく先に点を与えないようにと思ってマウンドに上がっていましたし、打線が点を奪ってくれるのでとても自信を持って投球できていました」

— 野村投手自身の登板において、印象に残った試合を聞かせてください。

「やはり、4月27日(ヤクルト戦、神宮)のプロ初完封ですね。あの試合は自分も調子が良い方でしたし、初回からたくさん点を取っていただいたので『最後までいってやる』という思いで投げていました。ただ、完封というよりも完投して1人で最後まで投げ切れたということが自信になりました。やはり先発投手としては、マウンドに上がるにあたって完投することは一番の目標になるので、すごく自信になりました」

■野村祐輔(のむら・ゆうすけ)
1989年6月24日生、岡山県出身、投手
広陵高ー明治大ー広島(2012年〜2024年)