2026年、新監督・ガウルの下でシーズンを迎えるサンフレッチェ広島。オフに補強を進めるなかで話題となったのが、浦和レッズから電撃復帰を果たしたMF松本泰志だ。豊富な運動量を武器にチャンスを生み出し、2024年にはJ1リーグ優秀選手賞を受賞した。
2025シーズンに地元・埼玉を本拠地とする浦和レッズに完全移籍すると、リーグ・カップ合わせて31試合に出場。1年での古巣復帰は多くのファン・サポーターに、驚きを持って迎えられた。 『広島のために、自分のすべてを懸けて戦う』と語る松本に、改めて、古巣への思い、新シーズンへの決意を聞いた。(全2回/第1回)
◆『めっちゃ強いな、このチームは』
─2024シーズン以来の広島復帰となりました。広島からオファーが来たときの率直な思いは?
「『めちゃくちゃびっくりした』というのが正直な思いです。オファーがくるとは思ってもいなかったので、予想外の予想外でしたね。話を聞いた時は本当に驚きました」
─移籍を決断した最大の理由は何だったのでしょうか。
「そのオファーを聞いた時に、『やっぱりもう一度、広島でやりたい』と素直に思いました。それまで移籍についてはまったく考えていなかったのですが、サンフレッチェ広島だから心が動いたというのはありました。広島は高卒から加入したクラブですし、プロに入ってから長く所属したクラブでもあります。慣れ親しんだチームメートもたくさんいる温かい場所だと感じていたので、復帰を決めました」
─そのチームメートのみなさんとは、復帰が決まってから連絡を取り合う機会はありましたか。
「いえ、僕から連絡はしていません。みんなも移籍がリリースされたタイミングで知ったと思うのですが、リリース後は(東)俊希選手や大迫(敬介)選手、中野(就斗)選手から連絡をもらいました。みんな、『びっくりした!』と言っていました」
─加入会見では『チームメートにいじられた』と話していました。そうしたメッセージもあったのですか。
「広島に戻ってきてから、塩谷(司)選手や(加藤)陸次樹選手に『1年で帰ってくるやつがいるのか』と言われましたね」
─浦和時代のお話もお伺いします。対戦相手としてのサンフレッチェ広島は、松本選手にとってどんな相手でしたか。やはり、古巣相手はやりづらさもありましたか?
「やりづらさなどは特にありませんでしたが、改めて『めっちゃ強いな、このチームは』と感じました。特にホーム(エディオンピースウイング広島)の雰囲気はすごく嫌でしたね。アウェイチームとして乗り込んだ時のスタジアムの雰囲気は『うわ、こんな感じなんだ』とすごく圧力を感じました」
─11月9日の広島ー浦和戦(◯3−0)ですね。あの試合では、ゴール裏での涙の挨拶も印象的でした。
「ゴール裏ではきっとブーイングを受けるだろうと思っていたのですが、実際はファン・サポーターのみなさんの温かい声援が耳に入ってきて、自然と感情が出ていました。今までの感謝の気持ちもそうですし、その日の試合内容の不甲斐なさもあって……みなさんに成長した姿を見せることができなかった悔しさや、いろいろな感情が溢れてきたんです」
─松本選手自身、まさか泣くとは思わなかったということですか。
「そうですね。自分でも予想外でした」
─2025シーズンはリーグ・カップ合わせて31試合に出場して3得点をあげています。浦和での1年間で、ご自身がもっとも変化した部分はどこだと感じますか。
「浦和では改めて『自分自身、まだまだだな』と思いました。もっと個人としての能力を高めなければいけないと、より強く感じることができた1年間だったと受け止めています。それまでの自分は、広島のサッカーに活かされていたんだと感じました」
─『活かされていた』というのは、具体的には?
「自分は個で何かができるタイプではなかったので、広島では、周りの人たちに支えられていたんだと感じました。プレー中も、周りの選手が僕の動きをずっと見てくれていましたし、だからこそ活きた自分の強みもあったんだと思います。移籍を経験して、改めてそう感じました」
(後編へ続く)

