今季の戦いも半分を過ぎ、9月に突入してもなお苦しい戦いを強いられている佐々岡カープ。投手では左右の両エースである大瀬良大地とクリス・ジョンソンが戦線を離脱。打撃陣も好調なチーム打率とは裏腹に、リーグ3連覇当時のような“つながり”が鳴りを潜めている状況だ。

プロ初登板を7回無失点で乗り切った森下暢仁投手。以降も安定した投球を続けている。

 軸となるべき選手の調子が上がらないことを受け、今季は即戦力として入団した森下暢仁だけではなく一軍初昇格を果たす選手が急増。ウエスタン・リーグを賑わせてきたフレッシュな若鯉が、一軍の舞台でチャンスを掴むべく猛アピールを続けている。ここでは今年、待望の一軍デビューを果たした6選手のデビュー戦を振り返っていく。

◆森下暢仁「新人王に向け突き進む次代のエース候補」
<初出場・6月21日、DeNA戦>
11試合/6勝2敗0S/71.2回/防御率2.39

 開幕前から非凡な投球を見せていた森下暢仁が、プロ初登板となった6月21日のDeNA戦で期待に違わぬ圧巻の投球を披露した。初回、先頭の梶谷隆幸に安打を許したものの、後続を断ち切り無失点スタート。落ち着きを取り戻すと、その後は8三振を奪う快投を見せ7回4安打無失点でマウンドを後にした。
 新守護神のスコットが1死も奪えずサヨナラ打を浴びたことで初先発、初勝利はならなかったが、大学ナンバーワン右腕の評価に偽りなしを強く印象づけた。

◆中村奨成「甲子園を沸かせた男が、初の昇格を果たす」
<初出場・7月26日、DeNA戦>
4試合/4打数0安打0本塁打/打点0/盗塁0/打率.000

 入団1年目にプロの壁にぶつかり、2年目は故障や死球を受けての戦線離脱など不運も重なった。2017年、夏の甲子園で一躍表舞台に駆け上がった中村奨成だが、ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。しかし今季はウエスタン・リーグで一時は首位打者に位置するほどの好成績を残し、プロ3年目の7月25日に初の一軍昇格を勝ち取った。
 昇格翌日のDeNA戦では、6点ビハインドの7回に代打で登場。ピッチャーゴロに終わったとはいえ、平良拳太郎が投じた全球をフルスイングする積極性を見せた。以降も代打での出場が続き4打数無安打で登録抹消(8月8日)となったが、現在も二軍ながらコンスタントに試合に出場し、再昇格の機会を虎視淡々と狙っている。